よみタイ

霧島に移住して1年半。『女フリーランス・バツイチ・子なし 42歳からのシングル移住』の藤原綾さんが今思うこと

 平日、仕事に煮詰まったり、積読の山を眺めて呆然としたり、気分を変えたいときに向かうのが、朝8時からオープンしているカフェmole。白くて四角い静謐な空間のなか、集中力が高まります。地元の食材を使った料理とオリジナルブレンドの珈琲でほっと一息。ゆるくなりすぎず、でもずっと居たくなる不思議な場所です。

カフェmoleで過ごすひととき
カフェmoleで過ごすひととき

 休日は、さくっと登れて、絶景が見られる大浪池に行くことも。メインの登山口には15台ほどしか駐車できないので、必然的にビューポイントにも人が少なく、非現実に連れていってくれます。早朝から開いているパン屋さんでサンドイッチを買って、軽い登山のあと碧い池を眺めながら食し、帰りは新湯温泉でひとっ風呂浴び、鹿児島料理を食べて帰ったら即寝る。これぞ、霧島の正しい休日。

大浪池の絶景
大浪池の絶景

 季節の花々が咲いて、それがひとつの話題となるような霧島の暮らし。今回、本を出版したことが新聞に掲載されると、ご近所さんが出版祝いにとたくさんのお肉(猪! 鹿!)や野菜を持ってきてくれました。ご近所付き合いが増えれば増えるほど、周囲は誰誰の同級生、誰誰の兄妹……と、かなり近い存在で築かれた共同体で、突然やってきた私はだいぶ異質な存在だったことがわかってきました。今では、そんな密な関係が育まれるなかで、手を差し伸べてくれる方がたくさんいて、少しずつメンバーになれてきたかなあと思っているところです。
 今、東京に戻りたいかと聞かれたら、故郷とはいえ、できればもう戻りたくはありません。親戚や友人はいるけれど、新鮮な肉や野菜を食べ、毎日温泉に入れる豊かさを、体が知ってしまいました。自然のなかに小さな喜びを見つけては、おばあちゃん達の気持ちがわかるようになってきました。年をとったせいなのかもしれません。
 一方で、少子高齢化で失われていくものが、ここからどんどん増えていくことも目に見えています。少しずつ霧島の知り合いも増えてきたので、この危機感を共有しながら、10年後、20年後を見据えた活動をじわじわ進めていくのが今後の課題。具体案もありますが、まずは不言実行。私だからできることを、腰を据えて考えていくつもりです。

サイン会&懇親会 開催決定!

●日時●
4月1日(土)17時~19時
藤原綾さんと、お茶をいただきながらお話しできます。
*サイン会は事前予約のほか、開催時間内でしたら当日の受付も可能です。
*懇親会でのドリンクのオーダーは各自でお願いいたします。

●場所●
TSUTAYA BOOKSTORE 霧島
(霧島市国分野口東8番40号)
Tel 0995-48-8777
*サイン会、懇親会ともに本をご購入いただいた方のみ参加可能です。

好評発売中! 移住体験実録エッセイ

1,650円(10%税込)
1,650円(10%税込)

バツイチ、子なし、ひとり暮らしの中年女性が人生後半戦を見つめ直し、生まれ育ち40数年暮らした東京を離れ鹿児島県霧島へ。戸建て物件探し、引越し、リフォーム、ご近所付き合い、畑仕事、仕事先の東京との往復……オンタイムで綴る移住ルポ。

藤原綾さんの『女フリーランス・バツイチ・子なし 42歳からのシングル移住』は、Amazonほか、全国書店・ネット書店にてお求めいただけます。

1 2

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Facebookアカウント
  • よみタイX公式アカウント

よみタイ新着記事

新着をもっと見る

藤原綾

ふじわら・あや
1978年東京生まれ。編集者・ライター。
早稲田大学政治経済学部卒業後、某大手生命保険会社を経て宝島社に転職。ファッション誌の編集から2007年に独立し、ファッション、美容、ライフスタイル、アウトドア、文芸、ノンフィクション、写真集、機関紙と幅広い分野で編集・執筆活動を行う。
インスタグラム @id_aya 
ツイッター @ayafujiwara6868
プロフィール写真©chihiro.

週間ランキング 今読まれているホットな記事