2021.12.19
「『共感』がもてはやされ過ぎている時代だからこそ観てほしい」。作家・爪切男さんが「野望」を感じたサブスク動画3選
詐欺師の生きざまが美しい『ジェネレーション・ハッスル』
昔、『恋愛詐欺師』というTVドラマがあった。椎名桔平演じる結婚詐欺師の男が、天海祐希、夏川結衣といった週替わりのヒロインたちを言葉巧みに誘惑しては、多額の金を騙し取る。ところが被害者の女性たちは、「彼に女としての喜びを与えてもらった」「生きる目標を教えてもらった」と感謝の気持ちを述べるだけで、誰一人として被害届を出そうとしない。金は騙し取るけれども、女性に対しては全身全霊で愛情を注ぐという恋愛詐欺師のポリシーが彼女たちにそうさせてしまうという内容のドラマだった。
この『ジェネレーション・ハッスル』で紹介されている詐欺師たちの人生を垣間見ていると、あのドラマのヒロインと同様に、私はどうしてもこの詐欺師たちを嫌いになれなかった。犯罪者を美化などしてはいけないのかもしれないが、自分の野望を叶えるためならどんな悪事にも手を染めるという覚悟をもった人間の生きざまは、どこか潔く、とても人間らしく、そして美しい。
「共感」という感覚がもてはやされ過ぎている昨今だからこそ、この『ジェネレーション・ハッスル』を観てほしい。そろそろ、必要のない「共感」から卒業してみませんか。
今回紹介した作品が観られる配信サービスはこちら(2021年12月現在)
『セガvs.任天堂 Console Wars』、『100フィートの波/100 FOOT WAVE』、『ジェネレーション・ハッスル』/U-NEXT
爪切男が時空を超えて届けるラブレター
小学校から高校までいつもクラスメイトの女子に恋をしていた――。
爪切男さんが少年時代のエピソードを綴る全20篇のエッセイ集は、ドラマ化もされたデビュー作「死にたい夜にかぎって」の前日譚ともいえる作品。
せつなくておもしろくてやさしくて泣けるセンチメンタル・スクールエッセイ『クラスメイトの女子、全員好きでした』。年末年始の読書のおともにぜひ!
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