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「32時間自宅階段でエベレストの高さを登る」「55時間無睡眠ラン」など、コロナ禍にも負けないプロアドベンチャーランナーの壮絶トレーニング

閉塞感を打ち破るべく始めた「階段エベレストチャレンジ」

――新型コロナウイルスの世界的感性拡大は、プロドベンチャーランナーとしての活動にどのような影響があったのでしょうか。

世間でコロナのニュースが騒がれるようになった2019年末から2020年の初め頃、僕は5月にヒマラヤで開催させる「ヒマル・レース」に向けてトレーニングをしている時期でした。結果として、3月に主催者から開催延期の知らせが届いて、このチャレンジは達成できていません。
延期の知らせを受けとったときは、もちろん残念な気持ちもあったのですが、正直、コロナで自分自身がどうなるかという不安もあったので安心感のようなものもあって……。いろんな感情が入り混じっていましたね。

4月に入るとコロナの問題が深刻化して、アドベンチャーマラソンだけでなく、国内のスポーツイベントも続々中止となっていって。
とにかく世界的に大変な事態ですから「自分だけが目標を失ってしまった」というような気持ちは一切なかったです。ただ、これまでに感じたことのないような閉塞感、言葉にできない不安のようなものはありました。

――昨年はレースに参加できない状況でどのような活動を?

何かしらできることはしようと、やれる範囲でトレーニングは続けていました。例えば、自宅で高さ8848mを登る、「階段エベレストチャレンジ」とか。

何もできないまま気持ちだけが閉じこもってしまってダメになりそうで、とにかく何かやろうと自宅の階段などを舞台にエベレストの高さを登ってみたのですが……。
でももうやりたくないですね(笑)。つまんないですよ。景色が変わらないし、やっていることが単純だし、やめようと思ったら1分でやめられるし。自宅だから。

そうなると階段を登り下りしながら何をするかというと、自分と向き合うしかない。これを合計32時間もすると、なかなか堪えますね。

32時間かけて自宅の階段をひたすら登り下り。(写真提供/北田雄夫)
32時間かけて自宅の階段をひたすら登り下り。(写真提供/北田雄夫)

――やって後悔した?

いえ、発見はあったので、やって良かったです。とにかくつまらなかったけど(笑)。
この「階段エベレスト」では、自分のモチベーションがどこで落ちてどこで持ち直すのか、やってみないとわからないことが見えたのが発見ですね。
始めてだいたい1時間くらいで、もう嫌になるんですよ。それでも続けていく中で、ふと自分の気持ちが上がる瞬間があって。
僕の場合は、未来のワクワクすることを考えるとモチベーションが上がりました。「出版した本がすごい評判になったらどうしよう」とか(笑)。
ただ、妄想力も持続時間が限られていて、考えてくること自体が疲れてくると、またモチベーションは下がってしまうんですね。
そういうモチベーションの波があって、そのスパンも長くなったり短くなったりする。モチベーションのスイッチの入れ方をつかんで、波を自分でもっとコントロールできたらと思いますが、なかなか難しいですね。

著書の爆売れを必死に妄想中?(写真提供/北田雄夫)
著書の爆売れを必死に妄想中?(写真提供/北田雄夫)
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北田雄夫

きただ・たかお
1984年生まれ、大阪府堺市出身。中学から陸上を始め、近畿大学3年時に4×400メートルリレーで日本選手権3位。
就職後は一度、競技から離れるも「自分の可能性に挑戦したい!」と再び競技を始める。
2014年、30歳からアドベンチャーマラソンに参戦。
17年、日本人として初めて「世界7大陸アドベンチャーマラソン走破」を達成。
現在は「世界4大極地の最高峰レース走破」にチャレンジ中。

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