2021.9.13
推しにたくさん幸せをもらったから、推しにも幸せになってほしい ——森三中・黒沢かずこさんインタビュー
いろんな役割を「演じる」のが大変
――黒沢さんの結婚願望を駆り立てるほどの日常の恐怖とは、どういったところからきているのでしょうか。
以前何かのテレビで俳優さんが「視聴者の方が日常の中で演じている。だから自分たち俳優は演じない方がいい」というようなことをお話されていて、確かにそうだなと思ったんです。会社での人間関係とか、親戚とのやりとりとか、みんな周りに気を使いながら、いろんな自分を演じて生きているなって。普段はお酒が好きで騒いでいるような人が、喪主になって静かに「本日はありがとうございます」なんて頭下げたりしているのも、ある意味で自分を抑えて、求められる役を演じているということじゃないですか。
私はそういうのがすごく苦手で、大変だなと思ってしまうんですよね。でもきちんと演じれば親も安心するのかな、とも思うし……。
――40代になると、仕事でもプライベートでも、演じないといけない役割が増えてくる感じはありませんか。
そういう部分もあるかもしれません。でも私の場合は、お笑い芸人という職業もあってか、40代になってからの方が、自分の意見も言えるようになったし、図々しく生きられているとも思います。
20〜30代の頃はなりたい自分像があって、そういう人に近づきたいと思うあまり本当の自分を出せないところがありました。でも40くらいになると、自分はそんなにポップな人間でもないし、一流にもなれないことがわかって、もう図々しくなるしかなかったんです。
――黒沢さんが20~30代の頃に思い描いていた「なりたい自分」や理想の人生とはどのようなものだったのでしょうか。
だいぶ稼いでから結婚して、40前に仕事はやめています。早く結婚して、仕事はやめて、でも東野幸治さんが座長をしているルミネtheよしもとの新喜劇の座員だけは残ってやり続ける、というのが夢でした。あとは家で好きな時に寝て、好きな時に起きるというのが理想。こんな奴はなかなか結婚できませんね。