2021.1.30
講談師・神田伯山さん特別コメント 『妻が口をきいてくれません』は「気づきの本」
夫婦関係の“大いなるあるある”が詰まっている
私の意識の変化によって、うちの夫婦関係は以前より円滑になりましたが、それでもやはり喧嘩をすることはあります。
喧嘩というか、食い違う意見をすり合わせていく作業ですよね。
ほとんどの夫婦がそういうものだと思うし、「5年会話なし」というのは長いとしても、3日とか1週間とか、口をきかないというのもよくあることではないでしょうか。
この漫画には、そういう夫婦関係の“大いなるあるある”が詰まっています。
友達とか周囲の人にはあえて言うようなことでもないけれど、夫婦の間ではよくあること。
それが全編を通して生々しく描かれているので、私を含め、多くの人が自分ごととして作品に入り込んでしまう。
例えば、「期待して失望するのが嫌だ」というのは、私も妻からそのまま同じ言葉を言われたことがあり、刺さりました。
「期待に応えられずごめんなさい」と思うのですが、「言わなくてもわかって」という女性の気持ちが、なかなか男には分からないものなんですよね。
あとは、バスで子供がぐずって乗客に注意されたエピソード。
落ち込む妻に対してやや上から目線のアドバイスをする夫が描かれていますが、俯瞰で読んでいれば分かるんです。
「対処法は求めてないんだよ。ただ共感すればいいのに!」「『大変だったね。一緒にいてあげられなくてごめんね』と言えばいいだけなのに!」と。
でも、男性は理屈に走りがち。
男性とひとくくりにして良いのかはわかりませんが、私にも思い当たる節が……。
そんな“あるある”が連続の作品を通して感じたのは、「人ってちゃんと言わないと伝わらないし、伝わらないと共感できない」ということ。
私の妻とも「無視では解決にならないよね」という話をしました。
生きていると、家族やパートナーにしか言えないことも出てくるものです。
家族という同じチームの一員である相手がそういう思いを訴えてきてくれたときに、一丸となって共感して立ち向かっていけないと、もったいない。
やっぱり日頃から、きちんと向き合うこと、当たり前のことを当たり前だと思わないことが大切なんだと、この作品を読んであらためて気づかされました。
だから、『妻が口をきいてくれません』は、私にとって「気づきの本」。
それぞれの夫婦や、同じ夫婦でもその時の関係性や状況によって、違った気づきが得られる作品だと思います。
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