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麻雀牌シェア日本一! 紀州の麻雀王に聞く、和歌山県御坊市が「麻雀の聖地」である理由

麻雀関連製品で年商10億、約60年間シェアトップ

――麻雀牌製造を始められた1964年からずっと国内シェアトップなのでしょうか。

60年代当時は、トランプ類税という税法があって、トランプとか花札とか麻雀牌の製品の裏に、トランプ類税証紙というシールのようなものを貼る決まりがあったんです。麻雀牌に貼られる税証紙の発行枚数で販売量がわかりました。それが、うちの会社が一番多かったということです。
現在は税証紙の制度はなくなりましたが、業界の売り上げから考えて、国内で流通している麻雀牌の7割、全自動麻雀卓の9割が当社のものです。

――全自動麻雀卓の製造はいつから?

麻雀が徐々に全自動の時代に入り、1988年に当社でも全自動麻雀卓の製造を始めました。このときすでに全自動麻雀卓が普及しはじめてから10年ほど経っていたのですが、当時流行りだした流線型のデザインのプラスチック枠を麻雀卓にいち早く取り入れたことで爆売れしました。後発メーカーながら、現在もシェアトップとなっています。
そう考えると、創業当初から工夫で生き残ってきた会社だと思います。

プロ雀士も愛用する大洋化学の全自動麻雀卓「AMOS」シリーズ。画像は「AMOS REXXⅢ」。
プロ雀士も愛用する大洋化学の全自動麻雀卓「AMOS」シリーズ。画像は「AMOS REXXⅢ」。

――お父様から事業を受け継いで、時代も変わる中で、業界シェア1位を守り続けるための工夫やプライドはありますか。

麻雀製品に関しては、私が守り続けているというより、時代の移り変わりの中で、他社さんが撤退していって、うちが残されたという感覚です。うちは、国内シェアトップではありますが、第二次麻雀ブーム全盛期の1970年代に比べたら麻雀製品の売り上げは5分の1ほど。金額でいうと年間約10億程度です。当社のグループ全体の年商が約50億ですから麻雀製品製造は事業の中の一部なんです。ただ、やはり麻雀関連製品は当社の代名詞ですから、これからも高品質の麻雀製品を作り続けていきたいと思っています。
現在は「AMOS」というブランド名の麻雀卓が主力製品です。麻雀牌や点棒のセットなど、麻雀関連製品は多岐に渡ります。キティちゃんの柄の麻雀セットなどもありますよ。
他社が撤退する中で生き残ってこられたのは、生産をオートメーション化したことや、製品検査機などを独自開発して設計製造からメンテナンスまで一貫して社内完結できるようにしたことが強みだと思います。

天安門事件発生翌日に中国へ

――麻雀製品は御坊の本社工場で作られているのでしょうか。

ほとんどは中国支社の工場で作っています。
当社は、父が中国の上海東亜同文書院大学に留学していたこともあり、中国とは昔から縁があります。
実は、私は、1989年の天安門事件が起こったまさにその日の翌日に中国へ行き、政府関係者と面会していたんです。

――え、翌日ですか? 飛行機は飛んでいたんですか!?

なぜだかわかりませんが、空港では大きな混乱はなく、中国行きの飛行機にも普通に搭乗できました。
当時ほとんどの人は中国から引き揚げていましたが、私は逆にチャンスだし、歴史的現場を目撃できるなんて面白いと思い、そのまま訪中したんです。そうしたら「こんな中でも来てくれるなんて」と、中国側はとても感激して温かく受け止めてくれて。独資企業の中国国内販売は3割という規定がある中で、当社は7割販売する許可が特別に与えられました。特別規定は現在も続いています。
今はコロナの問題などもありますが、やっぱり人と直接会うこと、行動することの大切さというのは、この経験から感じています。

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