2019.11.23
ユニクロが「1人勝ち」を続ける理由ーそのヒントは「着物」にあった〜ITmediaビジネスオンライン 前編
新刊『もっと幸せに働こう 持たざる者に贈る新しい仕事術』(集英社)をはじめ、漫画『服を着るならこんなふうに』(KADOKAWA)の原作監修などファッションやビジネスに関する本に多く関わっており、その売り上げは累計100万部を超える。
かつて、ユニクロといえば安物ファッションの代名詞であり、「おしゃれ」とは程遠いブランドイメージだった。しかし、近年は国内企業の大量閉店や撤退が相次ぎ、苦境に立たされているアパレル業界の中で、ユニクロは過去最高益をたたき出し続けていて、まさに“1人勝ち”の様相を呈している。「安かろう」といったブランドイメージも、すでに過去のものとなった。もちろんそのイメージの逆転劇には、MBさんをはじめとするアパレルインフルエンサーによる影響も無視できないだろう。
今回、ITmedia ビジネスオンラインはMBさんに独占インタビューを実施。なぜ、若者を中心にここまでユニクロファッションが「おしゃれなもの」として人々に愛されるようになったのか。ファッションビジネスの変遷や最前線について、前中後編でお送りする。
実は「ファストファッション」ではない! 異質なビジネスモデル
――いま、ユニクロは若者を中心に、おしゃれで前向きなファッションとして、いろんな人に求められていたり、フィットしたりしているように思います。なぜだと考えられますか。
大きな理由としては、服の素材感やモノのクオリティーが極めて高いというのがあると思います。実はユニクロって、ZARAやH&Mのように、最新の流行を取り入れながら低価格に抑えた「ファストファッション」に一見見えるのですが、実は全く異なったビジネスモデルだというのも大きいと思います。
――よく若者の間ではユニクロと並んで、ZARAやH&Mも選択肢に上がると思います。この2つとユニクロはどう違っているのでしょうか。
ZARAやH&Mが展開しているビジネスの強みは、商品の企画から実際に店頭に並ぶまで約3週間と、非常にスピーディーな展開ができることです。これによって、最新のファッショントレンドをいち早く取り入れて、「いま着たいもの」を素早くみんなに届けることを可能にしています。つまり、流行に乗ったデザインの商品を迅速に作って消費させて、作ってはまた新しい商品を消費させてっていう、言葉通りの「ファストファッション」の代名詞と言えます。
しかし、ユニクロはこれと全く異なるビジネスモデルで展開しているんです。
――ユニクロはどういう展開の仕方をしているのでしょうか。
ユニクロの商品って、基本的には開発期間が年単位なんですよね。ファストファッションとは対照的な「消費させない文化」を作っていて、例えばヒートテックとかエアリズムをはじめとするヒット商品を見れば分かるのですが、10年以上の期間で売り続けています。枚数にすると、それぞれ1億枚を優に売っています。H&MとかZARAで1億枚以上売る品番はなかなかありません。
つまり、ユニクロは開発期間を長くとることによって、「定番」を作っているんですよね。ファストのトレンド品じゃなくて、定番のスタンダードを長期間かけて開発することで、10年20年愛されるものを作ることを念頭に置いています。
10年20年かけて1億枚売るとなると、当然ロット数も増えますから単価は下がります。恐らく、ZARAやH&Mでヒートテックを出そうとすると、もっと高価格になるはずです。ユニクロは定番商品を大量に長期間作るから、ものすごく良いものが安く提供できる。これがユニクロの強みと言えます。
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