2026.2.18
みんなが辞めるところで辞めないヤツが、夢を掴むんだよ【サーフィン犬 コーダが教えてくれたこと 第6回】
犬と暮らす楽しさ。スポーツや遊びを通じて犬とわかり合う楽しさ――。
ドッグトレーナーになってからは、動物たち本来の性質に則ったQOL(生活の質)に配慮する「動物福祉」の考え方をもとに、飼い主と犬がより良い関係を築くためのサポートをする浅野さん。この、人間の都合だけによらない「動物福祉」の考え方が世界中で広まりつつある今、長く続いて来た“人と犬とのパートナーシップ”についてもまた、改めて考えてみたい。
前回は、コーダがサーフィン犬になったエピソードをお届けしましたが、実はスケボーもできるようで…⁉
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コーダのスケートボード第一印象は、「奇妙な物体」
コーダがまだ0歳の頃のある日、コーダとの散歩を終えて家に戻った私は、庭にずっと放置されていた従兄弟のスケートボードを見つけ、ふと「コーダがスケートボードに乗れたらカッコいいかも」と思いつき、立てかけてあったそのボードを地面に置いてみました。
「コーダ、乗って!」と言いながらリードをぐいっと引っ張り、コーダをボードに近づけましたが乗ろうとしなかったので、リードをさらに引いて上に乗せようとしましたが、コーダは初めて見たその奇妙な物体に警戒して、上に乗るどころか近づくのも嫌な様子でした。なんだ、コーダはスケートボードの才能は無いのかあ…。そう思って、その時はすぐに諦めました。
翌年の5月、この連載の第3回でも書きましたが、栃木県のAFCで約1週間のドッグトレーナー養成研修を受け、目からウロコの「犬のやる気や自発性を養うモチベーショナルドッグトレーニング」を知った私は、コーダの問題行動はコーダが引き起こしているものではなく、すべて飼い主である自分や自分がコーダに与えている環境が原因で起きているのだということに気づき、新たな問題解決や信頼関係の築きに取り組みました。それまでやっていた、私にとって都合が悪いことが起きると現行犯でコーダを叱るという「しつけ的」な接し方は、“起きてしまった行動への対処”であって、時すでに遅し。注目すべきは問題が起きる前の“原因”であって、コーダも、嫌なことや興奮することが起きなければ、私を噛まない。だから、コーダには嫌な思いをさせない、興奮させてしまう原因も無くす。とにかく、コーダがいつでもリラックスした状態になれるよう、欲求不満や困りごとがない状態を作ることに全力を注ぎました。いつもそんな心の状態でいられたら、人間でも幸せを感じますよね。こちらがその状態を提供できる人間になれば、犬も信頼してくれるようになるのです。
犬との信頼関係の築き方については、ドッグトレーナーによってさまざまな考えがあると思いますが、私の場合は、まずは犬にとっての「安全」を絶対確保することで「安心」を感じてもらうこと。そこで犬からの「信用」が得られ、次第に「頼っても大丈夫かも?」となる状態を経て、最後にやっと「信頼」してくれるものだと思っています。その過程で、人間の側に嘘やごまかしや妥協があると、まるで写し鏡のように犬から自分自身に返ってくるのです。
ビギナーこそ「道具は最初から一流のものを使う」

2013年、コーダと私の関係性が一気に変わってきた年の夏。とにかく暑くて海しか行くところがなく、会社に行く時以外はほとんど海水に浸かりっきりでボディボードで遊んでばかりいた私とコーダですが、夏の終わりに、コーダに再びスケートボードを教えてみようと決意し、ネットで3000円の中古スケートボードを買いました。
スケートボードの練習は、上にも書いたように、これまで築いてきた信頼関係をベースにして、恐れや不安、事故や怪我がないように配慮することを最優先に始めました。スケートボードがどれくらい難しくて怖いのかを身を持って知るために、まずは自分でスケートボードの上に立ったり、漕いでみたり。運動神経のいいコーダは、練習を始めてから2週間ぐらいでボードの上に立ち、地面を蹴りながら前方を走る私を追いかけて来られるようになりました。最初に手に入れた中古のスケートボードはタイヤが錆びていて進みが悪かったため、キッズ用のスケートボードを新しく入手してみたのですが、それも横幅が狭いしコーダが上で滑ってしまうので、もっと幅が広くて滑らないデッキのものをと、コーダ専用にカスタムしたスケートボードをさらに購入しました。この、カスタムしたヒョウ柄のスケートボードは、動きの自由度が高く安定するのでコーダもどんどん上達して、なんと公園のスケートパークにあるバンク(傾斜のあるセクション)を使って滑ることもできるようになりました。地面をまっすぐ滑って進むスケボー犬はSNSなどでも見たことがありましたが、パークのバンクで滑る犬は、コーダが世界で初めて?なのじゃないでしょうか。流れでキックボードを教えたらすぐに乗れるようになったので、ミニマイクロというキックボードも購入。2015年ごろPennyと言うミニクルーザーが日本(の人間の間)で流行り出したので、さらにそれもコーダ用に追加購入。より良いライディング、スピードを出すには?操作性を良くするには?もっとカッコよく乗るには…?と、スケートボートにはお金も時間も惜しまず、どこへ行くにも片手にリード、片手にスケートボードのスタイルで、コーダと一緒に追求し続けました。
私もスケートボードに乗るようになったことで感じたのは、「道具は最初から一流のものを使う」です。どうせ下手なんだから道具に頼ろう、やりやすい方が上達は早い、ということです。それで上手くなってから、どんなボードにでも乗ったら良いんです。サーフィンも同じで、適したボード=不安や恐怖のないものを使うという「環境設定」が犬にとってどんなに大事なことなのか、身を持って知ることもできました。

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