2025.9.24
先代犬を亡くした時の後悔と誓いを胸に、数年後迎えた仔犬は…【サーフィン犬 コーダが教えてくれたこと 第1回】
犬と暮らす楽しさ。スポーツを通じて犬とわかり合う楽しさ――。
ドッグトレーナーになってからは、動物たち本来の性質に則ったQOL(生活の質)に配慮する「動物福祉」の考え方をもとに、飼い主と犬がより良い関係を築くためのサポートをする浅野さん。この、人間の都合だけによらない「動物福祉」の考え方が世界中で広まりつつある今、長く続いて来た“人と犬とのパートナーシップ”についてもまた、改めて考えてみたい。
第1回は、サーフィン犬 コーダと浅野さんとの出会いについて。
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待ちに待った仔犬がうちにやって来た!
2011年の晩秋のこと。私は駐車場に車を停め、同行の妹とドキドキしながら犬舎施設に向かっていました。仔犬販売仲介業者に予約していた仔犬が、ついにブリーダーのもとで生まれたという連絡を受け、ひと目でも早く会いたかったのと、どんな親犬から生まれ、どんな場所で育つのかを確認したくて、私が住む千葉から栃木まで車を走らせて来たのです。その日、私が待ちに待ったイングリッシュコッカースパニエルの仔犬は、ガラス張りの建物の外側から見学できるようケージの中に入れられ、母犬から一時離されてキュンキュンと鳴いていました。その体は片手のひらの上に乗せられるくらい小さく、顔もくしゃくしゃのしわしわで、持っている生命力の精一杯の声を出しケージの中を這いまわっていました。

親犬を見せて欲しいと頼むと、成犬になった今のコーダにそっくりな顔をした、少し痩せた8歳の雄犬を連れてきてくれました。雄犬は私たちには接触したがらないようで、こちらの顔を見ようともしませんでした。犬舎に戻りたそうにそわそわして、人になついている家庭犬とは違うと感じました。仔犬を育てるのは母犬の役割なのでどんな気質なのか是非母犬にも会っておきたかったのですが、「できない」とのことで結局会えませんでした。
仔犬が生まれたのは2011年の10月30日。譲渡は2ヶ月後の12月25日と、月齢としては少し早いけれど、年末年始の休みに入るので年内に販売を完了したいと仲介業者に言われたため、仕方ありません。ブリーダーからの「ソリッドカラーで骨格も良いし血統も良いから、この犬ならドッグショーに出せる」という言葉に、私はこの仔犬の未来がとてつもなく輝かしくなることを想像して、期待に胸をふくらませながらお迎えまでの日を待ちました。
先代犬が教えてくれた、犬と暮らすことの楽しさ
思えば、幼少期は家ではインコ、ウサギ、ハムスター、リスを飼い、近所のメジロやスズメ、鳩、虫やおたまじゃくしにカエルが友達でした。学生の頃もニワトリ、鴨、うずらを飼育していましたが、学生時代の終わり頃、ちょっととんがってしまったのか、「動物に興味ないテイスト」を通していた私。当時、家には茶色いダックスフントがいたのですが、母と妹とで世話をしていたため、私はご飯をあげたり、散歩に行ったりしたことはほとんどありませんでした。名前はココ。さらにその先代犬がアイリッシュセッターのコッパーという名前だったため、「コ」つながりで名付けたようです。
そんな中、運転免許を取得した私は、何か理由をつけてドライブに行きたくて、犬を連れてドライブに行くのってなんかかっこいいかもと思い立ち、家でヒマそうにしていたココを車の助手席に乗せて、千葉の南の海へ車を走らせました。海を見て植物園を歩いて、ひと息ついてココを見ると、舌を出して目を細めて口の端が上がって、まるで笑っているようでした。尻尾も高くあげてゆったりと振っていて、「楽しいね」と言っているかのようだったのです。

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