2020.8.18
大銀杏姿で復活の照ノ富士に、勇気と我慢の大切さを学ぶ〜照ノ富士(力士)
スポーツ選手が引退を決意するタイミングはいつなのだろうか。
体力の限界を感じた時、思うような記録が出せなくなった時、勝てなくなった時……。
相撲の場合は特にシビアだなあと感じることがある。
自らの勝敗により翌場所の番付が決まり、地位が高くなればなるほど負けが許されなくなるからだ。特に最高位の横綱は降格ができず、不甲斐ない成績を残せば、本人の意思がどうであれ引退を選ぶより他に道がなくなる。
横綱のひとつ下の位である大関は、2場所連続で負け越せば関脇に陥落する。陥落直後の場所で10勝以上すれば特例で大関に復帰することはできるが、現行制度の下で特例復帰できた力士は過去6名(栃東は2度復帰)、特例復帰を用いずに大関再昇進を果たしたのが1977年の魁傑ただ1人と、大変厳しい道のりでもある。そして大関復帰がかなわず番付を落とし続ければ、やはり引退せざるを得ないというのが慣例でもあった。十両まで陥落した大関経験者がこれまでに4名しかいないとことからもそれがうかがえる。
ところが今年の七月場所、こうした慣例を見事に打ち破る出来事が起きた。
幕内優勝を果たした照ノ富士である。