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南和行「離婚さんいらっしゃい」
離婚をめぐるたくさんの悩みやさまざまな葛藤。そこには、夫婦、家族の数だけドラマがある。夫婦関係で悩んでいる人たちが、自分の人生を取り戻せるヒントが得られることを願って……大阪で弁護士として働く著者が架空でつづる離婚をめぐるセミノンフィクション。

新春離婚ショー 第2部(前半)

<ごあいさつ>

あけましておめでとうございます。
離婚弁護士こと弁護士の南です。

平成最後のお正月は、
これまで物語で登場した6人の女性を、
3人ずつ2組に分けて座談会を行う企画、
その名も「新春離婚ショー」をお送りしています。

前回、1月前半号は第1部として、
連載第1回に登場したクス子さん、
連載第2回に登場したユニ子さん、
連載第4回に登場したサイ子さん、
の3人での座談会でした。

意地でも離婚しないユニ子さんが、
まさかのダメ出しをされる座談会でしたが、

今回の1月後半号は「新春離婚ショー」の第2部です。

連載第3回に登場したミミ子さん、
連載第5回に登場したトト子さん、
連載第6回に登場したカジ子さん、
の三人での座談会です。

それでは、
それぞれのエピソードを私がご紹介するので、
皆さん、ご自身の今をお話しください。

<ミミ子とその後>

(弁護士)
ミミ子さん、お久しぶりです。
ミミ子さんは、10代の頃、
家出同然で東京に出てきたときに、
一緒に暮らしていた男性との婚姻について、
離婚ができていなかったので、
その後、福岡に帰ってから出会った、
優しい今の旦那さんとの間に、
生まれたお子さんの出生届を、
出せなくなって無戸籍になったという、
話でしたね。

(ミミ子)
はい。先生にもお世話になって、
東京の裁判所で、離婚の調停と、
DNA鑑定の調停もして、
お子さんの出生届を出すことができました。

(弁護士)
いやー、良かったですよね。
DNA鑑定の調停っていうのは、
親子関係不存在の調停ですね。
私も、ミミ子さんと今の旦那さんが、
ちゃんと結婚できる形になれて、
子供さんの戸籍も作れて、良かったです。

(ミミ子)
前の夫があんなにあっさり離婚を認めてくれるとは、
思いませんでした。

(弁護士)
なんか、早く再婚したくて、
ミミ子さんの居所を探していた、
って言ってましたね。

(ミミ子)
今は、福岡でつつましく幸せに暮らしています。
夫も今日、「先生によろしく」って、
私が出かけるときに言ってました。

(弁護士)
ほんと、でも、旦那さんが、
まさかの宝くじ当選したから、
弁護士費用も用意できたし、
車も買えたし、きっとどんどん運気が上がるんですよ。
今日はよろしくお願いします。

(ミミ子)
よろしくお願いします。

<トト子とその後>

(弁護士)
そしてトト子さんです。
こんにちは。

(トト子)
こんにちは。

(弁護士)
トト子さんも、大変でしたね。
旦那さんがDV(ドメスティック・バイオレンス)で。
なんとか調停で離婚までこぎつけましたね。

(トト子)
お世話になりました。

(弁護士)
でもね……あのあとね。ありましたね。やっぱり

(トト子)
はい。ありました。

(弁護士)
連載のときには、離婚が無事に成立して、
トト子さんからは財産分与を請求しなかったのですが、
その後、旦那さんからトト子さんに、
財産分与の請求を起こされて、
来るかなーと思っていたんですけどね。

(トト子)
思っていたんですか?

(弁護士)
予感はありましたね。DVの加害者には、
相手に対する粘着的な行動で、
苦しめてくる人も少なくないので。

(トト子)
ご迷惑をおかけしました……

(弁護士)
だから、トト子さんは謝らなくていいんですって。
DVをしてきた旦那さんが全面的に悪いのですから。
「離婚調停のときにダマされた」
「トト子名義の財産がいっぱいあることを知らなかった」
と蒸し返しの調停でしたからね。

(トト子)
私、財産分与の調停は、
行くとしんどくなっちゃうので、
全部、先生にお任せしていたので。

(弁護士)
代わりに闘うのが弁護士の仕事なんで、
全然オッケイですよ。
それに蒸し返しの調停だったので、
手続き的にはキッパリ審判されて終わりましたから。

(トト子)
ありがとうございました。

(弁護士)
その後は、どうですか?

(トト子)
今、母と娘と私の女三人でのんびり暮らしています。
仕事も始めようかなって。
本当に、すみません。ありがとうございます。

<カジ子とその後>

(弁護士)
そしてカジ子さんです。
こんにちは。

(カジ子)
こんにちは。

(弁護士)
カジ子さんは、
夫とのセックスレスに悩んでおられましたが。

(カジ子)
正直、その問題は、
今もずっと継続中ですが、
離婚はしないと決めました。

(弁護士)
いいんですか?

(カジ子)
私も友達にも相談しましたが、
どう考えても夫は「いい夫」なんだって、
それを思うと離婚できないでしょう。

(弁護士)
カジ子さんにとっては、「いい夫」ですか?

(カジ子)
セックスしてくれたら、
たぶん完璧な夫です。
でも、娘が本当に今の夫のことが好きで、
それを見ると、私が我慢したらいいんですから。

(弁護士)
やっぱり我慢なんですね。

(カジ子)
そりゃ我慢でしょう。

(弁護士)
でも、我慢するっていっても、
セックスだけじゃないですか。

(カジ子)
なんで、先生、私だけ批判するんですか?
私だけ相談で終わって、
ほかのお二人みたいに、
先生にお金払って裁判を依頼しなかったからですか?

(弁護士)
そんなことを言ってないでしょう。
「我慢、我慢」ってカジ子さんが言うから、
そこまで嫌なら、離婚を考えたらいいし、
離婚しないなら、恩着せがましく、
「我慢してやってる」みたいなのは、
旦那さん、かわいそうじゃないですか?

(カジ子)
けっきょくセックスって下に見られてませんか?

(弁護士)
私はセックスを下に見ているんじゃなくて、
結婚でセックスを縛る考えが、
不自由だなと思うんですよ。

<いよいよ座談会が始まります>

(弁護士)
すみません。
ついつい、私も個人的な感想を、
言ってしまいました。
ほかの皆さんにもこの話題で、
まずは感想を聞いてみましょうか。
トト子さんはどうですか?

(トト子)
え、私ですか。すみません。
私は夫のことがあって、
男性が全般的に怖いというか、
一緒にいると暴力されるんじゃないかって、
つい思うので、
セックスレスで優しい旦那さんが、
少しうらやましかったです。

(ミミ子)
私の前の東京の夫が、
暴力を振るう人で、
家で無理にされることも多かったので、
トト子さんの気持ちもわかります。

(弁護士)
そうですよね。
ミミ子さんもトト子さんも、
DVの被害者だもんね。

(ミミ子)
でも、今の夫が、
本当に優しくて、
「ミミちゃん好きだよ」って、
ギュッてしてくれたら、
自然にそういうことになるし、
それで子供も授かったので、
そこがないっていう、
カジ子さんの悶々もわかります。

(カジ子)
わかってくれて嬉しいです。

ということで、「離婚さんいらっしゃい」、
夢の座談会「新春離婚ショー」、
第2部の後半はまた明日。

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南和行

みなみ・かずゆき●1976年大阪府生まれ。京都大学農学部、同大学院修士課程卒業後、大阪市立大学法科大学院にて法律を学ぶ。2009年弁護士登録(大阪弁護士会、現在まで)。2011年に同性パートナーの弁護士・吉田昌史と結婚式を挙げ、13年に同性愛者であることを公言する同性カップルの弁護士による弁護士事務所「なんもり法律事務所」を大阪・南森町に立ち上げる。一般の民事事件のほか、離婚・男女問題や無戸籍問題など家事事件を多く取り扱う。著書に『同性婚―私たち弁護士夫夫です』(祥伝社新書)、『僕たちのカラフルな毎日―弁護士夫夫の波瀾万丈奮闘記』(産業編集センター)がある。
大阪の下町で法律事務所を営む弁護士の男性カップルを追った、本人とパートナー出演のドキュメンタリー映画『愛と法』が話題。
・なんもり法律事務所
http://www.nanmori-law.jp/
・南和行のTwitter
https://twitter.com/minami_kazuyuki
・吉田昌史のTwitter
https://twitter.com/yossy_nan

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