2019.1.17
新春離婚ショー 第1部(後半)
<前半までの話>
お正月の特別編、
「新春離婚ショー」の第1部は、
クス子さん、ユニ子さん、サイ子さんの3人の座談会。
自己紹介が終わったところでどうやら、
ユニ子さんがサイ子さんに何か言いたげです。
<ユニ子 VS サイ子>
(弁護士)
ということで、ユニ子さん、
サイ子さんに何かひとこと言いたい感じですが、
(ユニ子)
いや、でも、今、
こちらのサイ子さんがおっしゃったのって、
私への当てつけですよね。
(サイ子)
は?
(ユニ子)
今、意地で離婚しないのは、
気持ち悪いって言ったじゃない。
あれって、私が自分が離婚しないことを、
「意地です」って言ったことに対して、
ですよね。
(サイ子)
いや、それはそんなつもりは。
でも、率直に言っていいですか?
(ユニ子)
どうぞ。
(サイ子)
私は、ユニ子さんの今の、
「意地で離婚しない」のを、
別にバカにはしてないですし、
今はそういう気持ちだと思います。
でも、
(ユニ子)
でも?
(サイ子)
そのうち、ユニ子さんの旦那さんにとっては、
ユニ子さんとの結婚って、
私と同じように、
ミイラ状態の結婚に、
なっていくんじゃないでしょうか?
(弁護士)
今は、でも、旦那さんは、
娘さんの学費も払っていて、
関係は続いていますよ。
(サイ子)
でも、そのうち娘さんが大学を卒業して、
社会人になって、
親と関わりがなくなっていって、
それでもユニ子さんが、
意地で離婚しないと言い続けたら、
旦那さんにとっては、
ミイラ状態の結婚になると思うんです。
(弁護士)
旦那さんにとってなんですよね。
(サイ子)
そうです。
旦那さんは、
今の女性と一緒に暮らしていて、
そのお子さんが、
小学校にあがるとか、
いろいろまた新しい生活を重ねていくと、
「まぁ書類上だけ夫婦だけどいいや」
って、どうでもよくなるんじゃないですか?

<私の結婚にはちゃんと娘がいます!(ユニ子)>
(ユニ子)
アナタねぇ、
ほんの1年ちょっとしか同居してなくて、
そのまま22年放置していたアナタの結婚と、
20年近く、
ちゃんと同居して、
問題なかった私の結婚と、
一緒にしないでもらえる?
全然、違いますから。
(サイ子)
ええ、違いますよ。
全然違うけど、
このままユニ子さんが、
意地張っていたら、
最後は同じになりますよ。
(ユニ子)
なりません!
第一ね、
私の結婚にはちゃんと娘がいます。
娘が社会人になって独立しても、
娘は私と夫の子です。
娘の結婚式には、
私と夫が新婦の両親として、
二人で並ぶんです。
(サイ子)
アッハッハ……
だから、それがおかしいんですよ。
けっきょく子供がいる、
ってことしか、
ないってことじゃないですか。
(ユニ子)
子供がいるかいないかが、
結婚にとって大事なんじゃないの?

<カサカサしたミイラ状態の結婚なんですよ。(サイ子)>
(サイ子)
子供が大事なのって、
妊娠しているときと、
子供が大人になるまでの話ですよね。
子育てが終わって、
夫婦の間に何も特別なものがなければ、
カサカサした乾燥ミイラの結婚なんですよ。
(ユニ子)
それはアナタがそうだっただけでしょう。
私と夫は、ちゃんと恋愛結婚で、
愛情がありま……
(弁護士)
ありま……?
(ユニ子)
ありま……した。
(サイ子)
ほら。過去形ですよね。
(ユニ子)
アナタのところはでも、
お見合いでしょう。
愛情のない打算結婚で、
けっきょく思っていたのと違ったのがアナタ。
私は、恋愛結婚で、
うまくいっていたけど、
夫の浮気でダメになった。
(サイ子)
もうわかっていると思うんですけど、
けっきょく最後の二人の関係は、
そんな私の結婚と、
ユニ子さんの結婚も同じ。
カサカサしたミイラ状態の結婚なんですよ。
(ユニ子)
私は認めないわ。
私は自分の結婚を、
ミイラ状態の結婚だなんて、
認めないから離婚しないの。
(サイ子)
ますます、私の元夫のこだわりと同じ、
独りよがりのジュクジュクしたゾンビの結婚ですよね。
<今でも旦那さんのことが、好きなんじゃないかしら(クス子)>
(弁護士)
サイ子さんの言いたいことはわかるのですが、
ユニ子さんの気持ちもわかるなぁ。
クス子さんは、どうですか?
クス子さんよりも、少し年下のお二人の話を聞いて。
(クス子)
私は、他人様のことをあれこれ言うのは、
ワイドショーみたいで申し訳ないんですが。
(弁護士)
いいんですよ。
「新春離婚ショー」なんで。
(クス子)
私が思うのは、ユニ子さんは、
意地という風に口を悪くおっしゃるけど、
今でも旦那さんのことが好きなんじゃないかしら。
(ユニ子)
えっ?
(クス子)
私は、自分の夫のことを、
いい人だと思うし、
感謝の気持ちはあるけれど、
やっぱり好きというような気持ちには、
なれないんです。
(弁護士)
生理的に嫌いという感じで、
おっしゃってましたね。
(クス子)
だから私、
もし夫が別の女性とそういう関係になったと聞いたら、
ホッとすると思うんです。
(弁護士)
いわゆる不貞や不倫であっても?
(クス子)
他人様に知られたら恥ずかしいとか、
そういうのはありますが、
私は「あぁ私はもう相手をしなくて良くなった」
とホッとして、
どうぞそちらで引き受けてくれたら、
って思うんじゃないかしら。
(弁護士)
ユニ子さんはそれがないんじゃないかと?
(クス子)
そうです。ユニ子さんは、やっぱり、
旦那さんへの意地なんじゃなくて、
相手の女性への意地なんじゃないかしら。
相手の女性に対して、
「夫の気持ちは盗めても、
妻の立場は盗めないぞ!」
っていう気持ちがあるから、
旦那さんに怒っているようで、
相手の女性が許せないのよね。
(ユニ子)
……
(クス子)
それは旦那さんへの愛情が、
まだ残っているか、
愛情に気づいたからなのかなって、
私は聞いてて思いました。

<引っ張る姿を見せることが「意地」の見せ所かも(弁護士)>
(サイ子)
ユニ子さん、私、
ズケズケ言いましたけど、
もしそうなんだったら、
恋愛感情って幻想だから、
それこそスッパリ切ったほうが、
幸せになれますよ。
(クス子)
サイ子さん、それはね、
アナタがきっと若い頃に、
うんといろんな恋愛をしてきたから、
なんじゃないのかしら。
(弁護士)
たしかに、サイ子さんは、
バブル時代の青春でしたもんね。
(サイ子)
人を遊びまくっていたように、
言わないでください。
(クス子)
私は、恋愛とか自由にするのは、
あまり恥ずかしくてできない時代だったの。
でも、なんでこんなことを、
思うかっていうと、
母の介護をしながらね、
韓流ドラマを見るようになって、
そうか人を突き動かすのも、
人を強情にさせるのも、
恋愛なんだって思って。
(弁護士)
なんと、さすがワイドショー的ですね。
ユニ子さん、どうですか?
(ユニ子)
保留です。
最後にもとのような生活になることは、
ないのかもしれないけれど、
相手の女性への勝ち負けなのか、
夫への勝ち負けなのか、
愛情なのかも私はわからないけど、
私が納得するまでは、
離婚しないつもりです。
(弁護士)
そうですか。
「離婚さんいらっしゃい」でも、
私が何度も言ってますように、
離婚届の協議離婚なら、
どんな理由でも合意すれば離婚できますが、
片方がひとたび「離婚したくない」
と言ってしまえば、
かなり長く引っ張れますから、
引っ張る姿を見せることが、
「意地」の見せ所かもしれません。
(サイ子)
うーん。そうなのかな。
(クス子)
でも、ユニ子さんは、
キャリアウーマンでお仕事もあって、
娘さんも立派に大学に行かれて、
意地を張ることを第二の人生にすることも、
いいのかもしれませんね。
(ユニ子)
そこまで言われると、
安っぽいドラマのようでバカバカしいですね。
明日にでも判子押すほうが、
楽なのかな。
(弁護士)
私としては、離婚訴訟まで
持って行かれて、弁護士としてお引き受けすると、
仕事としてオイシイのですが……
(ユニ子)
じゃ、そのときはお願いします。
(弁護士)
ということで「離婚さんいらっしゃい」
「新春離婚ショー」の第1部、
クス子さん、ユニ子さん、サイ子さんによる座談会でした。
次回は「新春離婚ショー」の第2部、
連載第3回に登場したミミ子さん、
連載第5回に登場したトト子さん、
連載第6回に登場したカジ子さん、
この3人でのお話です。
お楽しみに!