2026.4.5
これが本当の“東京砂漠”⁉ 東京の島のなかにある、黒い砂が広がる「裏砂漠」【山の名&珍プレイス 第5回 前編】
本連載では、アウトドア雑誌や山登りの指南本、TV番組や各種イベント出演でもおなじみの山岳ライター・高橋庄太郎が、豊富な山経験をもとに、自分の足でわざわざ見に行く価値がある、こだわりの山の名スポット・珍スポットを紹介していきます。
“砂漠”というと、文字通り、乾燥し切ったアフリカや中近東の大荒野、あるいは巨大な砂丘のようなものをイメージするかもしれません。しかし、砂漠のなかに砂丘が存在することはあっても、砂丘があるからといって砂漠とは限りません。だから、有名な鳥取砂丘はあくまでも砂丘であり、砂漠ではなく……。しかし、日本には、地形図にもしっかりと記載された“砂漠”が本当にあるのです。
バナー・本文写真/著者提供
記事が続きます

日本で唯一? 地形図に記載された“砂漠”の文字
日本の国土を測量し、すべての地図データのもとになる地形図を作成しているのは、国土交通省の特別機関である「国土地理院」だ。その地形図に、なんと“砂漠”と明記されている場所が日本に存在する。それはずばり、伊豆諸島の中心、大島(通称・伊豆大島)の三原山に位置する「裏砂漠」だ。一部のコアな地理マニアや三原山登山を経験したことがある人程度にしか知られていないが、なにしろ国土交通省のお墨付きだから、間違いはない。
実際、ウェブ上で検索すると「日本で唯一の砂漠」としてヒットするのが、この裏砂漠だ。正確に言えば、伊豆大島の地形図を見ると裏砂漠の至近距離に「奥山砂漠」という地名も確認でき、それらを合わせて“日本で唯一”と考えることもできる。
しかし、本当に伊豆大島だけが“日本で唯一”なのか? たしかに地形図に地名が記載されているという点で言えば、国土地理院が正式に認めているのはここだけともいえる。それゆえに、日本の他の場所には砂漠がないような言及が巷には多いのだが……。ともあれ、ここからは伊豆大島の“砂漠”をご紹介していこう。
なお、伊豆諸島は東京都。つまり三原山の裏砂漠は東京の、それも海上に位置していることになる。裏砂漠にアプローチする登山口までタクシーやバスで向かうと、そのナンバープレートには「品川」と記されているのだ。

伊豆諸島最大の島、伊豆大島のど真ん中に位置する、風光明媚な名山
三原山は、大きな噴火口をもつ中央火口丘と外輪山などで構成され、裏砂漠はその北東側に当たる。登山口は複数あって時間に余裕があれば、どこから歩いていっても裏砂漠を見物できるが、最短コースは“温泉コース”だ。とはいえ、三原山自体が初心者でも楽に歩くことができ、しかも風光明媚な優れたスポット。裏砂漠へ最短距離で往復するのではなく、山頂付近もじっくり楽しまなければもったいない。

三原山は中央火口丘から離れるほどに樹林が深い。反対に言えば、山頂へ向かうと次第に樹林帯を抜けて開けていく。そのために温泉コースから歩いていくと、あるところから視界が急に広がって火山らしいゴツゴツした岩や石の風景になり、その後に分岐が現れる

じつはこの分岐の目の前が、すでに「裏砂漠」。しかし、ここからはあえて遠回りしながら三原山の見どころを紹介していきたい。なぜならば、遠回りをすることは裏砂漠を理解するのに大いに役立つからである。

三原山は太古から噴煙を上げ続けている活火山だ。1986年にも大噴火を起こし、当時の全島民と観光客、合わせて1万226人が避難するという大災害となっている。また、1984年公開の映画「ゴジラ」のラストシーンの撮影地にもこの噴火口が使われている。


先に述べたように裏砂漠は三原山の北東に位置し、東側の櫛形山を通るコースには展望台があり、そこからは海に向かって広がる裏砂漠の雰囲気がたっぷり楽しめる。



記事が続きます
![[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント](https://yomitai.jp/wp-content/themes/yomitai/common/images/content-social-title.png?v2)
















