2022.9.25
おじさんは、なんでもアップデートする生き方に疲れました。
ルイボスティーを飲み始めて二か月が経過。 快眠快便、意識明瞭、体重微減、明鏡止水、色即是空、原稿白紙。ルイボスティーのおかげというより糖分の摂取量を減らしたことが功を奏しているのだろうが、書き仕事以外の調子はすこぶる良い。
上機嫌の私が向かうのは、近所の食料雑貨店。個人経営のお店だが、カルディに負けないぐらいの豊富な品ぞろえを誇っている人気店だ。この店を利用することといえば、店先で実施している珈琲や外国のお菓子の試食をさせていただくことぐらいだった。そんな私が、店の奥にあるお茶コーナーへと突入する。そう、自宅でルイボスティーを煮出してやろうと目論んでいるわけだ。
目の前に広がるは多種多様なルイボスティーのティーバッグ。オシャレなイラストがデザインされたものもあれば、特別な栽培方法で育てた高級品、マスカットルイボスティーのようなフルーツと混ぜ合わされたものまである。
「ここは私のネバーランドだ……」
生まれて初めてブックオフに足を踏み入れたときのような猛烈な感動。あの胸の高鳴りをまた味わえるなんて思ってもみなかった。
会計の列に並んでいる間、店内の鏡に映り込んだ自分の姿を確認してみる。買い物かごから溢れるほどに詰め込まれたティーバッグと、それを見て嬉しそうにはしゃぐメタボ中年。
「ああ、このおじさん、キャバクラの女の子にでもプレゼントするんだろうな」とでも言いたげな店員の素っ気ない態度に焦った私はこう言った。
「妻が……ルイボスティーが大好きでね」
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