2024.9.13
「現場が暑くて本当によかった。どれだけ泣いても汗だって言い張れるから」…ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』原作者・爪切男の最終回ロケレポート
今回はその現場レポートと、この愛すべきドラマに対する原作者の感謝のメッセージをお届けします。
(取材・文/爪切男 撮影/よみタイ編集部)
原作者が行くロケ地“聖地巡礼”の旅
前回に引き続き、またもやドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』の撮影現場にお邪魔させていただきました。何度も現場に足を運ぶのは、周りに気を遣わせてしまってご迷惑だろうなと思いつつも、ワガママを言わせていただきました。だって……大人になったクラスメイトたちが一堂に会する同窓会のシーンですよ。そんなの見たいに決まってるじゃないですか。
ということで、はるばるやって参りました茨城県龍ヶ崎市。木村昴さん演じる枝松脛男(えだまつ・すねお)のふるさと、そして中学生時代の学校での撮影はここで行われていたのです。
約束の時間まで余裕があるということなので、いわゆる“聖地巡礼”なるものをやってみることに。クルマの車窓から見えるのどかな風景が、私が生まれ育った香川県の雰囲気によく似ていて、本当に里帰りをしているような郷愁に駆られる私。久しぶりに琴電にゴトゴト揺られたくなりました。
第2話にて、野呂佳代さん演じるジャイアントスイングプリンセス橘文香(たちばな・ふみか)の娘さん(三宅りむ)と脛男が出会った公園にも足を伸ばしました。劇中で脛男がノートパソコンで原稿を執筆していた場所に座ってご満悦。アニメでもなんでも聖地巡礼をする人たちの気持ちが少しわかった気がします。
舞台となる中学校へ潜入して見た風景とは?
そしていよいよ中学生時代の舞台となっている学校へ。現在では廃校となっているそうですが、建物から染み出るにおい、廊下を歩く時のキュッキュッという足音、窓から差し込む太陽の光、その全てがなんとも懐かしい。
子供の頃の私は、とにかく学校が大好きな珍しい子供でした。厳格な父親がいる我が家、その鬼の目を盗んで羽根を伸ばせる唯一の場所が学校だったからです。そんな避難場所だったはずなのに、今回こうして現場を訪ねてみて気付かされました。私はやっぱり学校という場所が大好きです。良い事も悪い事も……悪い事の方がたくさんあったけど、先生やクラスメイトとの出会いと思い出がなかったら私は今まで生きてこれなかったと思います。
という感動もここまで。廃校となっている関係で冷房設備が全く使えない撮影現場はまさに灼熱地獄でございました。
大型扇風機、ハンディファン、ネッククーラー、氷嚢、冷感スプレーなどを駆使してもどうにもならない夏の暑さ。現場に到着してものの数分で私もすぐに滝汗状態に。冗談抜きに体感温度は40度をゆうに超えていたのではないでしょうか。
でもそれが何か嬉しかった。原作者という立場ですが、やはり現場にて苦楽を共にしてドラマを制作している方々との間にどこか距離感を感じるものです。こうして現場のしんどさを体験して、一緒に汗だくになれたことで私も仲間の一員になれた気がしました。子供の頃、大雨の中を傘を差さずに一緒にずぶ濡れになって帰ったクラスメイトの女子のことを思い出しながら、ゆでだこ状態で撮影を見守りました。