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Jリーグ開幕! 長崎・玉田圭司は自信を持つ。「結果を求めながらも楽しむ。今シーズンは期待してもらっていい」

鹿島アントラーズを苦しめた天皇杯準決勝は、いい経験になった

「結果を求めるのはもちろん大事です。でもそういう気持ちが強すぎたっていうか……。結果を求めながらも、楽しむという気持ちをもってそのなかでチームを引っ張っていくほうが自分らしいし、結果もついてくるのかなって思いました」

 絶望に立ったことで、原点に返ることができた。

 チームはリーグ戦終了後、天皇杯準決勝(12月21日)に臨み、常勝軍団で知られる鹿島アントラーズを苦しめた。玉田に出場機会は訪れなかったものの、若い選手たちに大きな経験になったことを喜んだ。

「もちろん自分も出たかったですけどね。ファイナルに行くための試合って、そんな機会なかなかないじゃないですか。でもそれまで天皇杯の試合に出ていなかったし、逆に天皇杯で結果につなげてきた選手が出て、結果的には負けたとはいえ、チームとしても凄くいい経験になったんじゃないかと思う」

 絶望から希望に転じるまで、長い時間が必要になるときもある。むしろ、それが当たり前なのかもしれない。
 しかし玉田も、チームも非常に短い時間で絶望から希望へと舵を取ることができたと言える。あくまで想像の域を出ないが、チーム最年長の玉田が次のシーズンに向けて気持ちを切り替えていく姿が少なからずともチームに影響を及ぼしたように思えなくもない。

 リーグ戦終了から約1カ月後に天皇杯準決勝があったため、オフは短かった。シーズンが終わって20日後の1月11日に新チームが始動するというスケジュール。ベテランの玉田はオフが短いながらも、心も体もしっかり休ませることを意識した。

「まずは休ませないといけない。僕の場合は家族とゆっくり過ごすことがやっぱり一番。始動に合わせて、徐々に体を動かしていく感じですね。そこからキャンプへと入っていく流れ。オフは短かったですけど、まあ、いつものシーズンどおりです」

 ベテランは焦らず、じっくり。と思いきや、そういうわけでもない。
 キャンプに入れば、若手と同じメニューをこなして一緒に汗を流す。きつそうにしているが、どこか楽しそうでもある。

「もちろん徐々にっていうのはありますよ。でもなるべくみんなと同じセッションをこなししたい。本当に無理だったら仕方ないですけど、簡単に休みたくない。キャンプっていい意味で体を痛めつける場でもあるじゃないですか。中途半端に休んでしまうと、俺はダメなタイプだし(笑)。やれるところは全部やっていきますよ」

 キャンプは後輩との2人部屋生活にもなる。若い選手たちのコミュニケーションを含めて、玉田はキャンプからサッカーを楽しんでいた。無理やりそう意識をしているのではなく、あくまで自然体で。サッカーに、楽しいことに、年齢は関係ない。きつそうながらも、吐く白い息がどこか心地良さそうに宮崎の空へと舞い上がっていく。
 
 2020年のJ2は、2月23日に開幕する。J1昇格を目指す長崎はホームで栃木SCと対戦する。玉田は言う。

「若い選手も育っていると思うし、練習もボールをうまく扱うようなメニューが増えてきて、僕自身もやっていて毎日が楽しい。極端に言えば、結果はその次でいいと思うんです。楽しんで一生懸命サッカーをやるというその次で。楽しむことで、自分にしかできないプレーというものを出していければいいとは思っています」

 結果をないがしろにするという意味ではない。楽しむことで結果もついてくる。20年以上に及ぶプロキャリアや、エースとして引っ張ってリーグ初制覇をつかんだ2010年の名古屋時代の経験があるからこそはっきりとそう言える。

 仕事を、楽しむ――
 今年4月で40歳を迎える玉田圭司に、ため息は似合わない。
 不惑の息吹、実に活きがいい。

profile
たまだ・けいじ/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。
習志野高校を経て、99年、柏レイソルに加入。06年、名古屋グランパスエイトに移籍。10年、過去最多の13得点を挙げリーグ初優勝に貢献。セレッソ大阪、名古屋グランパスへ経て、19年シーズンより、J2のV・ファーレン長崎へ加入。
日本代表の初選出は04年。同年のアジアカップ連覇に貢献。06年ドイツW杯、10年南アフリカW杯に出場。19シーズンまでの通算得点は、J1で99得点、J2で26得点。日本代表国際Aマッチ72試合16得点。
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二宮寿朗

にのみや・としお●スポーツライター。1972年、愛媛県生まれ。日本大学卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社し、格闘技、ラグビー、ボクシング、サッカーなどを担当。退社後、文藝春秋「Number」の編集者を経て独立。様々な現場取材で培った観察眼と対象に迫る確かな筆致には定評がある。著書に「松田直樹を忘れない」(三栄書房)、「サッカー日本代表勝つ準備」(実業之日本社、北條聡氏との共著)、「中村俊輔 サッカー覚書」(文藝春秋、共著)など。現在、スポーツ報知にて「週刊文蹴」(毎週金曜日)、Number WEBにて「サムライブル―の原材料」(不定期)を好評連載中。

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