2020.8.19
【もんでんあきこ×桜木紫乃】「我々昭和の女どもには、やっぱり男はとことんカッコつけてカッコ悪く死んでほしいという美学がある」
泡にまみれた美男美女のダンスシーンの元ネタは……
――泡にまみれた男女が華麗なステップを踏む姿が印象的な「泡姫」の扉絵ですが、なぜストーリーとは直接関係のないこのダンスシーンを扉に描いたのでしょうか?
もんでん やっぱり扉の絵はタンゴでしょう! と思って。
桜木 うん。
もんでん 全裸でタンゴのシーンを描きたかったというだけなんだけど(笑)。でも、ポーズのイメージはあったんだけど、なかなか資料がなくて。著作権フリーの資料画像購入サイトでいっぱい検索かけて、やっと見つけた!と思ったのが、ヒゲのおっさんが二人で踊ってる写真。男女になった場合は足や手がここにくるだろうとか、調整はしてますけどね。元画像は、ヒゲの男と男です(笑)。
桜木 元画像が送られてきたときは笑っちゃった。でもこれが美男美女の絵になるんだよ、もんでんあきこの手にかかると。
『ブルース』のヒロトが指を切り落とすシーンも、まさに私が考えて字に落としたまんまだった。
もんでん あれは読んですぐに情景が浮かんだから、そのまま描きましたね。
桜木 実はあれは昔、知人の彼氏が極道で、その人から聞いた方法なの。私が極道映画が好きだったから色々教えてくれて(笑)。そう考えると、無駄なことは何もないなって思いますね。
もんでん 何事も無駄はないということでいえば、コミックスの表紙でヒロトが指に包帯をしているのは小説には出てこないんだけど、知人から多指症の人がそれをカバーするために包帯を巻いているという話を偶然聞いて、それで思いついて。
話の舞台になってる染物屋をどうやって描こうかなと思っていると、ちょうどローカル番組でそういう特集をやって、急いで録画して参考にしたり。求めたら何かちょうどいい感じでもらえているという気はしますね。
桜木 そういうのってアンテナ張ってないと会えないまま。いいアンテナを張り巡らせてたんだね。