2020.3.22
怖い、でも読みたくなる……。『リング』『らせん』で世界的な人気を誇る、鈴木光司「海の怪」の読みどころ
のび太君、船を買う
鈴木さんの知人でセミプロダイバーの「のび太君」は、友人から安く船を譲り受け、念願のヨットオーナーに。
意気揚々と初航海に出ようとしたのび太君に待ち受けていた悲劇とは――。
「のび太君、船を買う」は、タイトルのほっこり感とは裏腹に、船には思わぬ危険性がはらんでいることを教えてくれるエピソードです。
ヨット購入に興味のある方は必読。覚悟を持ってお読みください。
言われるがまま
海上の船乗りにとって、最大の関心事は「今、自分はどこにいるのか」。それがわからなくなると完全にアウトです。
そこで頼みの綱となるのがGPSですが、稀に狂うことがあり、頼りすぎるとかえって命の危険を招くこともあります。
実際に海上でGPSが正常に機能しなかった経験を持つ鈴木さんは、車を運転する際もカーナビを使わない派。
ところがある日、知人が運転するレンタカーに乗った際、珍しくカーナビを設定してドライブをすることに。
ナビに導かれるまま二人を乗せた車がたどり着いた驚愕の場所とは――。
連載タイトルからもわかる通り、海や船を舞台にしたエピソードが多い本作ですが、この「言われるがまま」は、車がメインの回。
より日常的で身近なシチュエーションだからこそ、リアルな怖さに震えます。