2023.12.27
学歴にこだわる陰キャはエモ系界隈に逆襲できるのか?【凹沢みなみ×佐川恭一 対談】
佐川 男子校の恋愛事情といえば、『かし恋』の正直が惚れやすい男の子という設定も面白いですよね。毎回、違う女性と出会っては惚れて失恋するっていう正直のキャラは、どうやって作っていったんですか?
凹沢 少女漫画のあるあるなんですけど、黒髪メガネ男子は軒並み、頭が良くて、優しくて、「内気な私」のことを誰よりも理解してくれて、さらに、女性を顔で判断しない紳士的な人で……みたいな描かれ方をすることがマジで多いんです。なんかそれ、キモいなって。
佐川 ストレートすぎる感想、さすがです!(笑)。だからその逆を張ったわけですね。
凹沢 そうなりますね。王道の逆張りでできたキャラです、正直は。
佐川 やっぱり着眼点が並じゃないですね。『別マ』12月号の“エモ回”もめっちゃ面白かったです。正直が大学の写真部の女の子に恋して、突然カメラを持ち始めてエモ系男子になるんですよね。でもその子は部長のことが好きで、正直は頑張ってこっちに振り向かせようと部長をめちゃくちゃディスる。そのディスり方がめっちゃ秀逸なんですよ。あんな夢見がちなやつ絶対将来年収低いですよ、中央線沿いに住んでますよみたいな(笑)。この漫画以外ではありえないセリフ、マジで笑ってしまいました(笑)。
編集T 中央線は年収低いというフレーズは編集部で一瞬審議が入りました。やばいと思ったのですが、無事、審議通ったのでよかったです。
佐川 やっぱり審議入ったんですね(笑)。でも通ってよかったです。あそこのキレはすごかったんで。
凹沢 実は私が今回叩いたエモ系の界隈って、私がかつていたところなんです。大学のサークルなんですが、もう最悪だったんですよ。私は昔からアーティスト系男子ウケが悪くて、彼らの私への当たりがキツかった。まぁ、これは若気の至りなんですけど、「私の方が才能あるから」みたいに彼らを内心見下してたところがあって、多分そういうのが滲み出ちゃってたんでしょうね。でも、私、見た目はおとなしそうだし、実際は気が弱いし。そんな女に見下されてるのが彼らもムカついたんだと思います。そのなかに特に私をいじめてた男がいまして「お前なんてしょうもないし、才能ないから辞めちまえ」ってずっと言われ続けてました。でもね、最近気づいたんですよ。そいつ、どうやら今、佐川さんの大ファンらしいんです。
佐川 マジですか(笑)。いいやつじゃないですか!
凹沢 いや、マジで最低なクズです(笑)。でも、こないだ友達と話してて知ったんですけど、そいつ佐川さんの信者みたいになってて、だから今日のこの状況に私は優越感を感じてます。昔、自分をいじめていた男の憧れの女性を寝とっているみたいな気分(笑)。
佐川 確かに、そう考えると大勝利ですね(笑)。
凹沢 おかげで脳汁、めっちゃ出てます。だからというわけでもないんですが、ぜひ、佐川さんに原作を書いていただきたい、と思うのですが……。
佐川 えっ、漫画のですか? めっちゃ書きたいです! 何をどう書けばいいのかわかりませんけど。
凹沢 なんでもいいです。R高の話をそのままでもいいと思いますし。そしたら私、例の男にこの上なくマウント取れると思います(笑)。
佐川 ホンマですね。佐川恭一原作の回だぜって自慢してやってください。
凹沢 それだけで生きていけますね(笑)。編集のTさんもいつまでいるかわかりませんし、もし部署異動で担当が変わったときは学歴ネタの相談に乗っていただければ……。
佐川 もちろんです。ちょっと関西圏の見方になっちゃうかもしれないですけど、協力できそうなところがあればぜひ聞いてください。僕の方も「学歴狂の詩」に素敵な挿絵を描いていただいているので、どうぞ今後ともよろしくお願いします。
凹沢 いえいえ、私が大好きな陰キャの男の子をたくさん描けるので、いつも楽しんでやらせてもらっています。どうしても少女漫画だとイケメンを描かなきゃいけない空気に抗えないんですが、佐川さんの挿絵はそんなの関係なく描けるので一番楽しかったりするんです(笑)。
佐川 そう言っていただけると嬉しいです。もし単行本化できれば、表紙も描いてもらいたいですね。そのためにもしばらく続けられるように頑張ります。
凹沢 ぜひぜひ! 私もめっちゃ参考にしてるので、お互い長く続けられるように頑張りましょう!
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