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覚悟あるみっともなさ──文筆家ひらりさが読む山下素童新刊

虚実のあわいがどこにあったのかを確かめたくなる

著者にとって掛け値ない真実であり、それを読み手にも問いたいのだろうと思わされる言葉が、散りばめられている。

「恋愛の最も良いところは、好きな人の目から見た自分の姿を生きてもいいと思えるところだ。海ちゃんが撮ってくれた動画を見ていたら、その動画を撮っている海ちゃんの視線に自分が気を許してしまっていることに気がついた」

実話に溢れた世の中でわざわざ読みたくなり、読んだあとはゴールデン街という舞台に行き、役者たちに、虚実のあわいがどこにあったのかを確かめたくなる私小説。でもすぐに〝正解〟を探しにいかずにしばらくはこの小説を読み返すのが、贅沢な味わい方かもしれない。

(※書評は、小説すばる2023年8月号から転載したものです)

9月1日(金) 下北沢B&Bでトークイベント開催!

7月26日、山下素童さんの新刊『彼女が僕としたセックスは動画の中と完全に同じだった』が発売されました。

本書の刊行を記念して、著者の山下さんと書評を執筆したひらりささんのトークイベントを9月1日に開催します!

イベント終了後、サイン会を行います!

詳細・お申し込みは、こちらから

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ひらりさ

文筆家。1989年東京生まれ。オタク女子ユニット「劇団雌猫」のメンバーとして活動を開始後、オタク文化、BL、美意識、消費などに関するエッセイやインタビュー、レビューを執筆する。著書に『沼で溺れてみたけれど』『それでも女をやっていく』。

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