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お世話になった葬儀屋さんから受けた「注意」
めくるたび、どんどん怖くなる。
『一行怪談』で知られる吉田悠軌さんの書き下ろし怪談集『日めくり怪談』から選りすぐりのお話をご紹介します。
1日5分の恐怖体験をお楽しみください。

お世話になった葬儀屋さんから受けた「注意」

 私の父は、半年前に亡くなりました。
 実はその時、お世話になった葬儀屋さんから、こんな注意を受けたのです。

「ご遺骨は良きタイミングでお墓に納骨してくださいね。ずっと家に置いておかない方がいいですよ」

 いったいどういうことでしょう。「あまり他で言わないでほしいのですが」と前置きされ、彼の体験談を語ってくれました。うちの隣に住んでいたNさん一家にまつわる話です。

「Nさんたちが亡くなられたのは、もちろんご存じですよね」
 確か三年前、隣のお婆さんが亡くなりました。その葬儀を担当したのも、彼だったそうです。  
ところが家のご主人、つまりお婆さんの息子は、火葬後の骨壺こつつぼを、いつまでもお墓に入れなかったそうです。よほど母親への愛情が強かったのか、ずっと手元から離さなかった。
 N家の奥さんから相談を受け、葬儀屋さんはそのことを知りました。
「奥さんとしては、義母の骨を置いておくのは構わないと言ってました。嫁姑の仲も良かったし、納骨はいつでもいいのだけど、一つ、どうしても気になることがある、と」

 ──夜になると、骨が鳴るんですよ。カタカタカタカタ……。壺の中で骨のかけらがこすれ合うような音がして。袋の中で、骨壺が震えているんです……。

「旦那さんが亡くなったのは、その話を聞いた一か月後でしたね」
 それは私も覚えています。N家のご主人は交通事故で死んでしまいました。車の行きかう路上に、ふらふらと飛び出していったそうです。母親を失ったことによる疲れか、覚悟の自殺なのか、どうなんだろうねえ、と近所の人は噂していました。

(イメージ画像/写真AC)
(イメージ画像/写真AC)
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吉田悠軌

よしだ・ゆうき●1980年東京都出身。怪談、オカルト研究家。怪談サークル「とうもろこしの会」会長。オカルトスポット探訪マガジン『怪処』編集長。怪談現場、怪奇スポットへの探訪をライフワークとし、執筆活動やメディア出演を行う。『怪談現場 東京23区』『怪談現場 東海道中』『一行怪談』『一行怪談漢字ドリル 小学1~4年生』『禁足地巡礼』など著書多数。
Twitterアカウント:@yoshidakaityo

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