2025.4.7
村上春樹に毒づきながら白湯を飲む。それが私の「朝活」です!【爪切男『午前三時の化粧水』一部試し読み】
村上春樹という存在がいなければ、「白湯」に興味を持つことはなかった。
「朝活」と称し、起き抜けに一杯の白湯をキメるようになってから1ヶ月、目に見えて何が変わったというような明確な効果はまだ出ていないものの、体調がすこぶる良いことだけは間違いない。
朝は白湯、日中はルイボスティー、夜は養命酒で締めるという黄金のローテーションが完成された今、私はどれだけ健康になってしまうのか。自分が少し怖くなる。
そんな白湯が、思いも寄らぬ副産物を生活にもたらしてくれた。それは、何も考えずにボ〜っとできる「無の時間」である。やかんの中を覗き込み、お湯がグツグツと沸騰する様子を無心で眺めるひととき。沸騰したお湯が適温に下がるまでのんびり待ち続けるひととき。瞑想のような高尚なものではなく、だらしなくボ〜っと脱力するだけの時間。
中年期を迎え、人生の残りが少なくなってきたと急に焦り出し、アレもコレもやらねばと張り切る人がいる。それも悪くはないが、あらゆる責任、組織、家族、社会から解き放たれ、ただただボ〜っと呆けるだけの時間を一日のどこかで作ることも大切ではないか。お湯が沸騰する百度の熱量で太く短く生きるより、白湯のように適度に冷ました生温い熱量で、私は長生きしたい。
しかし考えてみると、村上春樹という存在がいなければ、 「朝活」ひいては「白湯」に興味を持つことはなかった。世界的作家・村上春樹の偉大さに改めて敬服すると共に、再び「サンキュー春樹!」と言わざるを得ない。
とすれば、村上春樹の著作の中には、私の人生に必要な金言がまだまだ眠っているのかもしれない。そう思って手に取った『走ることについて語るときに僕の語ること』という本の中に、こんな一文を見つけた。
〝これからの長い人生を小説家として送っていくつもりなら、体力を維持しつつ、体重を適正に保つための方法を見つけなくてはならない〞
なんと耳の痛いお言葉か。おい、春樹、こん畜生が、お前まで適正体重なんて言うのかよ。
今に見ていろ、村上春樹。あなたのような文才はないけれど、あなたよりも可愛くてお肌ツヤツヤのおじさんに俺はなる。春樹よ、お前も白湯を飲め。もう飲んでたらごめんなさい。
「四月から日本の朝が変わります!」
TVに映る朝の情報新番組のMCが元気一杯に声を張り上げる。
私は知っている。
日本の朝はそう簡単には変わらないが、自分の朝は自分で簡単に変えられる。一杯の白湯が私の朝を変えてくれたように。
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