2025.3.26
爪切男の新作は美容と健康がテーマ。「音楽や映画のように掘っていく楽しさも美容にはあるんです」
テーマは美容と健康。シートマスクや化粧水に凝り、眉毛や髪型に気を使い、ルイボスティーや養命酒にハマり、自炊に目覚め、縄跳びやトルソーウォーキングで減量を目指す。
様々なことにチャレンジする中で、価値観が変わるほどの体験をしたという爪さんにたっぷり話を訊きました。前編では美容や健康についてのエピソードについてお届けします。
(取材・文/土佐有明 撮影/齊藤晴香)

おじさんは、すぐに美容の効果が出るから「ずるい」
――『午前三時の化粧水』、爪さんが美容や健康に目覚めていく過程が興味深かったです。
40代になってから美容に興味を持ち始めたんですけど、寝る前に化粧水をつけるとか、ちょっとした何かをするだけで、すぐに効果を実感できるのが嬉しくて仕方ないんです。でも、今までちゃんとセルフケアをしてきた同世代の人なんかには「ずるいよ」とよく言われますね。あんたはこれまで何もせずにダラダラ生きてきたおじさんなんだから、そりゃ目に見えて効果は出るでしょうよって(笑)。あと、美容と健康関連のグッズって本当に多種多様なので、それらを買い集めるのもすごく楽しいですね。
――確かに、百均ショップやドラッグストア、「カルディコーヒーファーム」などで買い物をする描写がたくさん出てきますね。
ルイボスティーを好きになってから「カルディ」に足を運び始め、緑茶や紅茶だけじゃなく、世界にはこんなにも多種多様なお茶があるんだなって知りました。本にも書いたんですけど、(レコード店の)「ディスクユニオン」に初めて行ったとき、無数のレコードを前にして「これだけの音楽、一生かかっても聴ききれねえわ、死ぬまで楽しめるじゃん」って思ったのと似た喜びですね。好きなものを深く掘っていく楽しさって、レコード店や本屋だけじゃなくて、「カルディ」やドラッグストアにもあったんだなって。
なんともお恥ずかしい話ですが、「いい漫画や音楽、映画を探す能力が人より高い」と自負して、私は生きてきました。レアな音楽やサブカルな映画をたくさん知っていることってかっこいいと思ってたんですが、「いやいや、美容に詳しい人ってすげえ!」ってことに気付かされましたね。私が知らないルイボスティーを飲んで、私の知らないシートマスクを使ってるんですよ。すごくカッコイイですよね。リスペクトです。
美容や健康にハマる人って、自分とは違う世界の住人だとばかり思っていたんだけど、興味を持っているものが違うだけで、やっている事は一緒なんだなっていう。この気付きは大きかったです。
――この本を読んで、シートマスクやルイボスティーを試そうと思う読者も結構、いそうです。
そうですね。美容と健康にハマっていくおじさんの日々を読んで、なんだか楽しそう……よし、私も!と思ってくれたら嬉しいです。偉そうに啓蒙はしたくないですけど、同世代の人たち、特におじさんたちには、まだまだ自分も変われるんだっていう喜びと自信を感じて欲しい。その一番の近道が美容なんじゃないかと思います。
美容に関心をもったら深夜の「ドン・キホーテ」がオススメ
――これから美容を試してみたい人にうまく商品を選ぶコツを伝授するとしたら?
ドラッグストアや百均ショップで手軽に買えるものから始めるのがいいですね。何を買えばいいかわからないときはベタなものがいいです。まずは王道から試すこと。あとは人の意見には素直に従うこと。私の場合、困ったときは妻の意見をいつも参考にしています。
そして、美容グッズを買うのが恥ずかしい人には、深夜の「ドン・キホーテ」をおすすめします。あの時間帯の店員さんって良い意味で客に無関心なので、何を買っても全然恥ずかしくないんですよ。あくまで、私個人の意見ですけど(笑)。
あと、口コミのレビューも頼りになりますね。昔読んでいた『ロッキング・オン』なんかの音楽雑誌で、心から信頼できる評論家の方が何人かいたんですけど、それと同じように、美容においても、参考になる美容家や美容YouTuberがたくさんできました(笑)。
――形から入るのも重要そうですね。
自分ではどうしようもできないことに直面したときは、専門家に任せるのがいいと思います。たとえば眉毛サロンなんて、自分では気づけない最適な眉毛のスタイルを教えてくれますしね。
実は、本日の取材に備えて、家の近くのバーバーに行ってきたんです。私はずっと坊主頭なんですけど、襟足から頭頂部にかけて微妙に髪の長さを変えたものとか、坊主にもいろいろなスタイルがあるらしくて勉強になります。最初にバーバーに行った時は、緊張で汗ダラダラでしたけどね(笑)。
