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「子どもだけでなく大人に刺さる」 カリスマ保育士・てぃ先生が絵本『だってだってのおばあさん』に励まされる理由

「子どもだけでなく大人に刺さる」 カリスマ保育士・てぃ先生が絵本『だってだってのおばあさん』に励まされる理由

「やらない言い訳」に負けそうな自分を救ってくれる絵本

さて、そんな僕が繰り返し読んでいる本が、『だってだってのおばあさん』(佐野洋子)。
保育園で子どもに読み聞かせする本の1冊として出会い、とても好きになった絵本です。

これは、「だって わたしは 98だもの」が口癖で、年齢を理由に物事に対して消極的になっているおばあさんの物語。
「○○君がこうしたからできない」などと周囲に理由を見つけて、本当はやってみたいことから逃げてしまう子どもは多いですが、この絵本は、とりあえずやってみようという積極的な気持ちにさせてくれます。なかなか自分から動いてくれない子どもに読む本としておすすめです。

児童書ではありますが、「年齢を言い訳にしない」というストーリーは、もしかしたら子ども以上に、大人に刺さるかもしれません。僕も、子どもにこの本を読み聞かせするたびに、僕自身が励まされています。
年齢に限らず、忙しいとかお金がないとか、何かと言い訳をしてチャレンジできなくなっている人は多いと思いますし、僕の中にもそういう自分がいます。でも自分でチャレンジの扉を閉ざしてしまうのは、すごくもったいないと思うんです。
つい目の前のことから逃げそうになる時、やりたいことより無難なことを選びそうになっている時、この本を読むと、「自分の可能性に制限をかけるのはやめよう」と、前向きな気持ちになれます。

「しんどい時によみタイ」特集連載一覧
●第1回 「心にお水をあげている感覚に」川村エミコさんを救った茶道エッセイ
●第2回 人気エッセイストのスズキナオさんが弱った時に読む2冊「人間は筒のようなものだという気持ちを取り戻させてくれる本」
●第3回 ノンフィクション作家・菅野久美子さんが選ぶ「90年代、壊れそうな少女だった私に寄り添ってくれた本」
●第4回 「『ハチミツとクローバー』は残酷だから安心できる」。読書猿さんが救われた傑作漫画3選
●第5回 新しい味の伝道師・稲田俊輔さんが選ぶ、食エッセイの不朽の名作、池波正太郎『むかしの味』
●第6回 直木賞作家・朝井リョウさんが、しんどさに襲われた時『ちいかわ』と『不寛容論』を読む理由
●第7回 ベストセラー作家・橘玲さんが『となりの億万長者』を読んで悟った「真の自由」を手に入れる方法
●第8回 発明家・藤原麻里菜さんが『言わなければよかったのに日記』を読んで出会った「後悔から自由になる」言葉
●第9回 学びのデザイナー・荒木博行さんが『センス・オブ・ワンダー』から受け取った〈感覚の回路をひらく〉意義
●第10回 ノンフィクションは人生の色彩を描き出すもの――作家・石井光太さんの座右の書『忘れられた日本人』
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てぃ先生

1987 年生まれ。関東の保育園に勤める男性保育士。保育士歴 13年。保育園児のよりよい就学への導入を模索するために、昼間は保育園、夜は学童保育(幼児・小学生対象)に勤務した経験も6年ある。 2012 年に始めた Twitter がすぐに好評を博し、フォロワー数は 50 万人を超える。 2020 年に子育てアドバイスを中心に始めたYouTube は、コロナ禍で子どもとの関係に悩む親に支持されて、チャンネル登録者数が 51 万人と伸び続けている。

Twitter:@_HappyBoy
YouTube :https://www.youtube.com/c/tsensei

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