2021.12.25
「子どもだけでなく大人に刺さる」 カリスマ保育士・てぃ先生が絵本『だってだってのおばあさん』に励まされる理由
「やらない言い訳」に負けそうな自分を救ってくれる絵本
さて、そんな僕が繰り返し読んでいる本が、『だってだってのおばあさん』(佐野洋子)。
保育園で子どもに読み聞かせする本の1冊として出会い、とても好きになった絵本です。
これは、「だって わたしは 98だもの」が口癖で、年齢を理由に物事に対して消極的になっているおばあさんの物語。
「○○君がこうしたからできない」などと周囲に理由を見つけて、本当はやってみたいことから逃げてしまう子どもは多いですが、この絵本は、とりあえずやってみようという積極的な気持ちにさせてくれます。なかなか自分から動いてくれない子どもに読む本としておすすめです。
児童書ではありますが、「年齢を言い訳にしない」というストーリーは、もしかしたら子ども以上に、大人に刺さるかもしれません。僕も、子どもにこの本を読み聞かせするたびに、僕自身が励まされています。
年齢に限らず、忙しいとかお金がないとか、何かと言い訳をしてチャレンジできなくなっている人は多いと思いますし、僕の中にもそういう自分がいます。でも自分でチャレンジの扉を閉ざしてしまうのは、すごくもったいないと思うんです。
つい目の前のことから逃げそうになる時、やりたいことより無難なことを選びそうになっている時、この本を読むと、「自分の可能性に制限をかけるのはやめよう」と、前向きな気持ちになれます。
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