2021.12.25
「子どもだけでなく大人に刺さる」 カリスマ保育士・てぃ先生が絵本『だってだってのおばあさん』に励まされる理由
前回は、ノンフィクション作家・石井光太さんが強く影響を受けた本をご紹介くださいました。
今回は、カリスマ保育士・てぃ先生が、繰り返し読んでいるという児童書をご紹介します。
本がきっかけで、叱る保育士を卒業
僕は、人類の中で、本は一番の宝だと思っています。
小説やエッセイを読めば、自分ではできない体験や、たどり着けなかった考え方に触れることができますし、実用書や図鑑を読めば、ページをめくるだけで、知らなかった情報にたくさん触れることができます。他者の体験や気持ち、考え方が、1冊の中に凝縮されている。そんな媒体は他にありません。
もちろん、アニメや映画にも良い作品がたくさんあるし、YouTubeやネットも便利です。でも、例えば『鬼滅の刃』の物語を、もし小説で読んでいたら、炭治郎の声や姿を想像して、自分なりの炭治郎を作り上げることができます。
価値観を広げ、イメージする力を伸ばす方法として、読書は最適です。だから、僕は読書が好きですし、保育士として子どもたちにも本が好きになってほしいと思っています。
とはいえ、以前の僕は本が嫌いで、全く読んでいませんでした。
本を読むようになったのは、保育士になって1〜2年目の頃。当時の僕は、子どもに対して「○○しなさい!」「○○やめなさい!」とキツく叱ってしまうタイプの保育士だったんです。でも、キツく言ってその場では動かせたとしても、何が悪かったのか子どもが根本的には理解していないから、またすぐに同じことを繰り返します。叱ったのにできていないと自分もイライラしてしまって、どうすべきなのか悩んでいました。OJTのような研修もなく、先輩たちの背中を見て覚えていけ、という職場でしたから、働き方の指針となるものもなくて……。保育士としてどうあるべきなのか、子どもたちにどう接したらいいのか、思いあぐねていた時に、ふと本屋さんで育児書を手に取ってパラパラと読んでみたんです。そうしたら、「ここに知りたかったこと書いてあるやん!」って(笑)。
それ以降、本を参考に自分の考えや行動を振り返ったり改めたりするようになり、子どもたちに対して感情的に叱ることも減っていきました。
お給料はあまり良くなかったので、月に何冊も買うことはできなかったけれど、徐々に保育書以外の本も手に取るようになって、世界が広がっていったように思います。