2020.11.15
「初めての喧嘩でもうダメでした」 川村エミコが30代の恋愛を振り返る
そんなこんなの、言えなかったことを言ったのが、5月のある日でした。
そうです、彼の気持ちが「さ、さ、さ、さ、さ」と音を立てて引いていった日のことです。
なんともない、軽いよくある喧嘩かと思ってましたが、それがダメでした。
初めての喧嘩でもうダメでした。
彼の思いやりもいつからかなくなっていました。
まとめると、合わなかったんだと思います。
向こうには、結婚する気もなかったから……。
遅かれ早かれお別れしていたと思います。
その5月の日から全然会えなくなりました。
そもそも週に1回だったのが、月に1回になり、そのあと3ヶ月は会えませんでした。
知り合いから彼を紹介して欲しいと言われ、スケジュールを確認したところ、その日程はすぐに合いました。
「あ、もうダメだろなぁ。」とその時思いました。電話で言いました。
「もう無理だと思うから会って話しませんか?」と。
ちゃんとしたお別れは、焼肉屋さんで「結婚する気が無い、から別れよう。」と言われました。その時、彼はニヤニヤしながら言ってました。
今思えば、昔の苦労話とか不幸話をニヤニヤ話すところが変態っぽくて好きだったなぁ……。
「普通にご飯は行こう。」と言われましたが、速攻断りました。自分の気持ちに疎いのも良くないですが、「あ、わたし楽しくなかったんだなぁ。」と気付きました。
遅いです。
帰り道、一人で帰りながら、彼の家でしか会えないルール、あれってなんだったんだろなーとか。自分の時間を乱されるのが嫌なんだろなー。お互いさまかぁ、とか。
彼の家まで毎回タクシー代が片道4000円超え。帰り分として帰り際に5000円札を渡されるのも嫌だったなぁ。そういうことじゃないんだよなぁ、とか。
最後の恋愛かもって思っていたので、付き合ってもらったのだから、どんな気持ちが生まれようと一生守らなきゃと本気で思っていましたが、そうは問屋がおろさなかったので、「なんだったかなぁ。」となりました。
帰宅して、お湯を沸かして、お茶を飲んでる時に目の前が真っ暗になりました。
猫舌なのにお茶の熱さも分からなかったです。
ブラックホールに落ちたみたいに落ち込みました。
朝の番組「ZIP!」で桝ますさんが「ポン、ポン、ポン、ポン、ZIPデ、ポン!」とやっているのを見ていて、涙がツーと出てきたこともありました。「あ、わたし傷ついている。」と実感しました。
お互い好きなところいっぱい探そうとしてたけど、そうこうしているうちに距離が離れてたんだなぁ……。
こんちくしゃーい‼です。
今は別れて良かったと心から思えるし、色んな経験をさせてもらったので、ありがとうございました、です。
恋愛迷子・川村エミコの心の内が1冊に
川村さん初のエッセイ集には、これまでの恋愛遍歴を振り返った「恋愛迷子のあんな恋、こんな恋。」のほか、気になる男の子に「粘土」とあだ名を付けられたエピソード、結婚・出産を迫ってくる「どうするの?なんで?女」撃退法など、数々の傑作エピソードが収録されています。
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