2020.10.21
デキる人は自分への批判は受け止めるのに褒め上手! 仕事が捗るコミュニケーション術~漫画家・秋本治の仕事術その3
この偉業の背景には、どのような思考や行動、努力があったのでしょうか。
そのマインドやハウツーをあますところなく語ってくださったビジネス指南書『秋本治の仕事術 『こち亀』作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』から、今回は、秋本さんが実践する「コミュニケーション術」を3つご紹介します。
自分ひとりの力だけでなくもっとチームワークを発揮して成果をあげたいのに上手くいかない、急に始まったテレワークで同僚との意思疎通がうまくいかなくなった……。ビジネスにおけるコミュニケーションに問題意識や苦手意識のある人は必読のヒントが満載です!
●「セルフマネジメント術」編はこちらから。「時間術」編はこちらから。
*書籍から一部抜粋・再編集してお届けします。
(構成/「よみタイ」編集部)
Q.建て前の人付き合いがどうしても苦手です……
仕事もプライベートも本音だけで生きられたらどんなにラクか……と思ったことはありませんか?
でも、取引先や上司など、異なる立場の人が関わるビジネスの現場では、ときには本音だけでなく、建て前も上手に使うことでお互いが気持ちよくスムーズに仕事ができる、というのも紛れもない事実です。
仕事において、自分らしさを見失いたくはないけれど、立場をわきまえた言動も心がけたい。
本音と建て前のバランスがとれたビジネスコミュニケーションとは、どのようなものなのでしょうか。そして秋本さん流の使い分け方とは?
A.ときに建て前を使うのは当たり前。でも本音をぶつけられる仕事仲間は必須
仕事上で向き合う相手、たとえば僕の場合では編集者、取材者、アシスタントでそれぞれ接し方は違いますし、それが当然だとも思っています。
僕が一番自然な会話をしているのは、対・編集者のときではないかと思います。「どうやったら面白いかねぇ?」、「こうした方がいいんじゃない」、「この内容を描くことはできません」、「これ以上ページを増やすのは体力的に無理!」と、とても具体的に本音をぶつけ、編集者からも本音をもらいます。
モノづくりのための仲間とのディスカッションという要素が強いので、本音を出さなければはじまらないという意識もあるのでしょう。計算抜きで、考えていることを直接ぶつけあう感覚です。
一方、アシスタントと話すときは、ある程度は頭の中で計算した上で、工夫しながら言葉をかけていると思います。僕は仕事が順調に進むように、サジェスチョンをしなければならない立場ですから。
そして初めて会う人から取材を受ける場合は、もっと計算した言葉を発しています。それはある意味では「建て前」といえるのでしょうし、よく考えた末に話していることですので、頭の中のことが整理された状態であるともいえます。
こうした「本音」と「建て前」の使い分けは、ほかの仕事でもよくあることだと思いますが、もっとも仕事の根幹をなす部分、僕の場合は編集者との対話のような場面では、計算することなく、本音をぶつけ合った方がいい結果につながるのだと思います。