2020.10.10
1日は24時間以上になる! 時間術マジックで仕事の成果をアップ!~漫画家・秋本治の仕事術その2
この偉業の背景には、どのような思考や行動、努力があったのでしょうか。
そのマインドやハウツーをあますところなく語ってくださったビジネス指南書『秋本治の仕事術 『こち亀』作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』から、今回は、秋本さんが実践する「時間術」を3つご紹介します。
リモートワークが急速に普及し、個々人のタイムマネジメント能力が問われる今、必読のヒントが満載です!
●「セルフマネジメント術」編はこちらから。
*書籍から一部抜粋・再編集してお届けします。
(構成/「よみタイ」編集部)
Q.やりたいことはいろいろあるのに、時間が足りなくて……
「仕事が忙しくて、なかなか終わらない」
「雑務に追われて、本当にやりたい仕事に注力できない」
「プライベートも充実させたいのに時間がない」……。
あわただしい毎日のなかで「もっと時間さえあればできるのに」と思うことは少なくありません。
ところが不思議なもので、仕事にプライベートに活動的な人ほど、締め切りより前に作業を終わらせていたり、趣味にも熱心だったり、時間と心にゆとりがあるように見えることがしばしばあるものです。
みんなに平等に与えられている1日24時間。もっと有効に使うためにどうしたらいいのか?
秋本さん流の「時間の増やし方」がこちらです。
A.小さな無駄な時間を省けば誰でも時間は詰められる
僕も昔は、『こち亀』一本に、一週間のうち7日間、フルでかけていましたが、連載に慣れてくると、6日でできるようになりました。週に1日の休みができるということは、1か月で4日も余裕ができるということです。それでは、やろうと思えば5日でも描けるんじゃないかと思ってトライし、だんだんペースができ上がってきたのです。
もちろん、週刊連載でも時間をかけて凝った話を、月に一本は描きたくなります。僕の場合、懐かしいことがテーマの回などは特に時間がかかり、一本に一週間以上かかることもありました。そんな場合でも作品のストックがあれば、目先の〆切は気にせず、十分な時間をかけて凝った話に取り組むことができます。
連載を持っている漫画家さんで、作品のストックを持っている人はあまりいないと思います。直近の〆切を目指し、ギリギリで数本描いたり、一本に絞って描いたりしていらっしゃる方がほとんどです。その方がライブ感があり、迫力のある作品になるのは確かです。
僕のように、読み切りを描くために連載マンガを描く時間を詰めているというと、真面目にやっていないのかと疑われてしまうかもしれません。
でも、決してそうではありません。単純にいうと、無駄な時間を省いていけば、誰でも時間はかなり詰められるのです。
たとえばアイデアを練るとき、ネームを考えるとき、ゆっくりコーヒーを飲んで、「どうしようかな……」と考えます。この「どうしようかな……」に2日かけているのであれば、「1日でやるぞ!」と決めてしまう。それだけで週に1日は空きます。こういう小さな〝無駄な時間〞を見つけてカットすれば、かけるべきところに十分な時間を充てることができるようになるのです。
僕がこう考えるようになったきっかけは、以前、ある町工場の仕事ぶりを紹介する映像を観たことでした。一人が工具箱から工具を探し、片付ける手間が1日合計10分かかるとします。それが12人だと120分のロスになる。月20日間働くとすると、合計40時間のロスです。
そのことに気づいたその町工場は、工具箱をなくしてしまい、工具はすべて壁に取り付けたそうです。これで探したり片付けたりする手間はゼロ。40時間は自由時間になります。
創作活動ではよく、「無駄な時間も大切」と言われたりしますが、僕にとっては無駄は無駄でしかないのです。