2021.9.27
発明家・藤原麻里菜さんが『言わなければよかったのに日記』を読んで出会った「後悔から自由になる」言葉
見落としていた感情を言語化してくれる本が好き
昔から本は好きで、読書量は多い方だと思いますが、自分で文章を書くようになってからは、より一生懸命本を読むようになりました。一生懸命読むというのは、言葉に対してより敏感になって、キャッチしようと意識して読むということです。
小説から実用書までなんでも読みますが、小説家の書くエッセイや、日常を舞台にした小説を特に好んで読みます。こうした本は、日常の中で見落としていた感情を言語化してくれると感じるからです。最近は、滝口悠生さんの作品をよく読みます。
自由な発想の原点は言葉
私は現在、無駄なものをつくる「無駄づくり」の発明家として活動していて、「どうしたらそういう発想が生まれるのか」と聞かれることも多いのですが、私のアイディアは言葉から生まれることが多いです。
無意識的だった感情の存在に言語化された「言葉」として出会って、「ああ確かにこういう気持ちあるな」と気づいた瞬間、それが発想の起点です。
だから自分の発想術や思考法をまとめた本『考える術』(ダイヤモンド社)の第1章は「『言葉』から考える」にしました。
新しい発明品を作る時も、たいていの場合、設計図は言葉で書きます。
たとえば「謝罪メールパンチンマシーン」という機械を発明した時は、まず「ビジネスで使えるパンチグマシーン」という言葉を作り、設計図には簡単なイメージイラストとともに、「パンチングマシーンを殴ると、『大変お世話になっております。この度は締め切りに間に合わず、ご迷惑をおかけしていることを深くお詫び申し上げます』と、あらかじめ入れていた謝罪メールを書く」といった感じで、文章化しながらイメージを具体化していきました。
私がなぜ言葉にこだわるのかというと、文章を書いたり、読んだり、言葉に触れていると、自由を感じることが多いからです。
「この言葉はこういう使い方もできるんだ」とか「この言葉とこの言葉を組み合わせると、こういう感情が表せるな」とか、そういう言葉に出会えた時に、自由になれたと感じます。
逆に言えば、自由に言葉を操れるようになるほど、自由な発想ができるようになるのだと考えています。