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ドクターマーチンはなぜカッコいいのか。作業靴をファッションアイテムに変えた「スキンヘッズ」の文化史

ドクターマーチンはなぜカッコいいのか。作業靴をファッションアイテムに変えた「スキンヘッズ」の文化史

ドクターマーチンのメジャー化〜書き下ろし著者コメント

 スキンヘッズカルチャーはマイナーで、その着こなしも普通の流行とは乖離した独特のものでした。
 しかし彼らが見出したファッションアイテムの中で唯一、一般に広く浸透したのがドクターマーチンのブーツ。
 下層階級出身の労働者集団・スキンヘッズは、みずからのアイデンティティを堂々と誇示するため、ワークブーツであるドクターマーチンをファッションに取り入れました。

 1964年に典型的なモッズバンドとしてデビューしたザ・フーのギタリスト、ピート・タウンゼントもドクターマーチンブーツの愛用者でした。
 瞬く間にビッグバンドに成長したザ・フーのメンバーのうち、ボーカリストのロジャー・ダルトリーはロンドンを中心に巻き起こったピーコック革命に応じ、服装がどんどん派手化していきます。
 対照的にピート・タウンゼントは、当時のメジャーミュージシャンとしてはありえなかったジーンズやつなぎなどのワークウェアをステージで愛用するようになり、スキンヘッズのワードローブであったドクターマーチンも履くようになります。

 そのピート・タウンゼントの影響もあり、ドクターマーチンブーツは1970年代以降、スキンヘッズと近縁関係にあるパンクやハードコアのみならず、メジャーロックシーンに大きく広がっていきます。
 そして今日ではガチのロック好きだけではなく、一般的なファッションピープルの間にも深く根付いているのです。

『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』の著者である僕にとっても、ドクターマーチン8ホールブーツは特別な思い入れがあるアイテムです。
 初めて買った大学一年生のとき以来30年以上にわたり、我が家の靴箱の中には常にドクターマーチンのブーツがあります。

(2021年8月 佐藤誠二朗)

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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