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「『きのう何食べた?』が支持されることは希望」 ジャーナリスト・浜田敬子さんが薦めるドラマ3作

「『きのう何食べた?』が支持されることは希望」 ジャーナリスト・浜田敬子さんが薦めるドラマ3作

コロナ禍で「おうち時間」が増える中、昨年から今年にかけて利用者が急増したのが、サブスク動画。Amazon PrimeやNetflix、Huluなど、多彩な動画コンテンツを楽しむことができる配信サービスです。

本特集では、エンタメをこよなく愛する「よみタイ」の執筆陣に、2021年にハマったサブスク動画を紹介していただきます。1年を締めくくる特別企画です!

前回は、翻訳家の村井理子さんが、ドキュメンタリーファン必見の3作を紹介してくださいました。

本特集最終回にご登場いただくのは、ジャーナリストの浜田敬子さん。フェミニズムやジェンダーの視点を絡め、おすすめドラマ3作をご紹介くださいます。

(文/浜田敬子、構成/「よみタイ」編集部)

働く女子必見 『大豆田とわ子と3人の元夫』

テレビで放映中、話題になっていたのは知っていたけれど、その頃韓流一直線だった私は「もう日本のドラマなんて、つまらないし」とそっぽを向いていました。それがNetflixに登場し、「ちょっとだけ」と見始めたら、見事にハマってしまいました。
とにかく、このドラマは働く女子必見です。結婚によって女の幸せが左右されるというこれまでのドラマセオリーを見事に裏切ってくれます。男たちが元妻を巡って右往左往するのに対して、とわ子の優先度はまず社長業。孤独な立場ながら常に部下を思い、会社のために何が最善かという信念を貫きます。あまりにリアルな会社という組織が持つ理不尽さ。その局面で彼女が下す決断の一つひとつの奥に、どれだけ悩みぬいて、いくつかのものを捨てたのかを思うと、長く管理職をやってきた身として胸が痛くなりました。ネタバレになるので、詳しくは書きませんが、最後にとわ子が下した決断に対しては、「本当にいいの?」とツッコミながら、でも「わかるよ」と声をかけたくなりました。
とわ子はスーパーな能力がある訳でもなく、決め台詞をいう訳でもない。でも、これこそ現代のリアルな理想の働く女性像だと感じました。

現代版のフェミニズムドラマ 『椿の花咲く頃』

私の韓流道はご他分に漏れず、『愛の不時着』から始まっています。どハマりして4周してしまいましたが、その不時着と同年に放映され、数々の賞に輝いたのが、この『椿の花咲く頃』。私の韓流ドラマの師であるブロガーのMisaさんがこれまでに見た中でも最高峰と勧めてくれたこともあり見始めたのですが、4話ぐらいまではあまりにコテコテの設定、人情ものにドン引きしていました。ですが、どの韓流にも通じる4話の壁を超えるあたりから、面白さが加速します。
主人公は幼い頃に貧困ゆえに母親に捨てられ、父親のいない子を産んだシングルマザー。その美しさもあって周囲の女性たちからはやっかまれ、スナック経営という職業ゆえに男性たちからは「水商売の女」という扱いを受けます。その主人公にベタ惚れした田舎の警察官とのラブストーリーかと思いきや、途中からこれは現代版のフェミニズムドラマだと感じました。
経済格差が日本以上に激しい韓国で、最底辺の生活の中、1人息子を育て、たくましく生きていこうとする主人公に対して、最初意地悪をしていて地域のおばちゃんたちがシスターフッドを発揮して彼女を支えようとする。1人の女性の成長物語でもあると同時に、格差社会をたくましく生き抜こうとする女たちの物語でもあるのです。ちょうどクライマックスがクリスマスの設定なので、ぜひ年末年始に。

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新刊紹介

浜田敬子

はまだ・けいこ●1966年山口県生まれ。ジャーナリスト。上智大学法学部卒業後、朝日新聞社に入社。「週刊朝日」編集部を経て、1999年から「AERA」編集部。2014年に女性初の「AERA」編集長に就任。17年に退社し「Business Insider Japan」統括編集長に就任、20年末に退任。テレビ朝日「羽鳥慎一モーニンショー」、TBS「サンデーモーニング」などでコメンテーターを務めるほか、ダイバーシティに関しての講演を行う。著書に『働く女子と罪悪感』(集英社)がある。

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