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不倫バッシング、夫の名前の表札…「日本の家族観」が生む苦しみ。南和行さん×三輪記子さん弁護士対談

性について語り下手な社会に一石を投じたい

 そういう男女の経済格差やジェンダーの問題、あるいは先ほど三輪先生がご指摘くださった固定的な家族の意識みたいな問題って、日本社会の歪みとして理屈で解説や理解ができても、浸透するというプロセスがなかなかないじゃないですか。政府が男女共同参画とか女性活躍って言ってもなかなか実際には進まなくて、「また言ってるよ」というような雰囲気ができてしまったり。
だから、物語として読み物にしたり、あるいは漫画とかドラマとかにして感情移入しやすい形にしたりすることによって、多くの人に広がるような気はするんですよね。

三輪 私と一緒にYouTubeやってるくらたま(漫画家・倉田真由美さん)って、御存じのとおり『だめんず・うぉ~か~』で有名じゃないですか。『だめんず・うぉ~か~』じゃなくて、『ヤリマン・うぉ~か~』っていうのを誰か描いてくれないかなと思ってて。年齢とか職業とか幅広く世の中のヤリマンに話を聞いて、あなたはどんなヤリマンかとか、どうしてヤリマンになったのかということを掘り下げるエッセイ漫画があったらいいなって思っているんですけど、誰かやってくれないですかね。男性が経験豊富なことは「武勇伝」とされがちなのに、同じことを女性がすると眉をひそめられるから、誰も言わないんですよね、「自分がヤリマンです」って。

 結局、性とか夫婦の問題ってデリケートで扱うのが難しいじゃないですか。だから、男女格差とかジェンダーの問題も含めたセックスが語られにくいし、語り下手な社会というものがあって、そこに何か一石という気持ちは結構あると思うんですよ。僕も多分三輪先生も。

「『下手な離婚』 をしないためにも夫婦トラブルのリアルを知ってほしい」と南さん(©️上田惣子/集英社)
「『下手な離婚』 をしないためにも夫婦トラブルのリアルを知ってほしい」と南さん(©️上田惣子/集英社)

 そういう意味で言うと、僕は今回の『夫婦をやめたい』は、生々しいセックス描写はなくても、これを読んだ人が、様々な夫婦のストーリーを通して、これだけ仲が悪くても子供がいるんだから過去にはそういうこともあったんだろうとか、心のどこかで夫婦生活を想像して、自分の性についても考える……そういう入り口的なところをうまく書けたと思うんですよ。

三輪 うんうん、よかったね! 私は南先生と付き合いが長いですけど、今回の本を読んで「ああ、南先生はこういうことがやりたかったんだな」とわかりました。仕事としてじゃなくて、心から好きで楽しんで書いているんだろうな、ということが伝わってきました。

 イラストレーターの上田惣子さんにも素敵な装丁画を書いていただいて、こんないい本にしていただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。

三輪 弁護士の観点からもすごくリアルで読み応えがありました。ちゃんとTwitterでも宣伝するんで。

 ありがとうございます!

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三輪記子

みわ・ふさこ●弁護士
1976年10月24日生まれ。京都府出身。東京大学法学部卒。
立命館大学法科大学院修了。2009年9月、司法試験合格。2010年12月、弁護士登録。以降、京都を拠点に弁護士業に携わる。
2017年9月に東京に拠点を移し(第一東京弁護士会所属)、2021年3月に「三輪記子の法律事務所」を開設。
各種ハラスメント問題や離婚・男女トラブルなどのエキスパートとして活動。
また、報道・情報番組のコメンテーターとしても多数の番組に出演中。
趣味は「法律相談・筋トレ・読書・映画鑑賞」。好きな言葉は「意識が存在を規定するのではなく、存在が意識を規定する」。
・三輪記子の法律事務所
https://www.miwafusako.com/
・三輪記子のTwitter
https://twitter.com/bi_miwa
・三輪記子のInstagram
https://www.instagram.com/fusakodragon/

南和行

みなみ・かずゆき●1976年大阪府生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院修士課程修了後、大阪市立大学法科大学院にて法律を学ぶ。2009年弁護士登録(大阪弁護士会、現在まで)。2011年に同性パートナーの弁護士・吉田昌史と結婚式を挙げ、13年に二人で弁護士事務所「なんもり法律事務所」を大阪・南森町に立ち上げる。一般の民事事件のほか、離婚・男女問題や無戸籍問題など家事事件を多く取り扱う。著書に『同性婚―私たち弁護士夫夫です』(祥伝社新書)、『僕たちのカラフルな毎日―弁護士夫夫の波瀾万丈奮闘記』(産業編集センター)がある。
大阪の下町で法律事務所を営む弁護士の男性カップルを追った、本人とパートナー出演のドキュメンタリー映画『愛と法』(監督:戸田ひかる)は、2017年の第30回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞し、2018年全国上映で好評を博す。タレント弁護士として、テレビ番組へのコメンテーター出演やドラマ・映画の監修なども手掛ける。
・なんもり法律事務所
http://www.nanmori-law.jp/
・南和行のTwitter
https://twitter.com/minami_kazuyuki
・南和行のInstagram
https://www.instagram.com/minami_kazuyuki/

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