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西洋が舞台の小説をもっと深く楽しみたいなら…『よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる』(佐藤賢一著)

直木賞作家・佐藤賢一さんの最新刊『よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる』が6月25日に発売されました。
西洋歴史小説第一人者として、フィクション、ノンフィクションともに、蓄積された知識を駆使した力作を発表し続けている著者による、世界史講義。
同じエルサレムを聖地とするユダヤ教、キリスト教、イスラム教をめぐる約三千年を追いながら、日本人がわかりにくいと思われるポイントを整理し質問形式で世界史を読み解きます。
世界史や宗教史に興味のある方はもちろんのこと、「世界史は学生時代に覚えきれず挫折した」「宗教問題って難しそう」と思う方にこそ、手にとっていただきたい1冊です!

今回は、著者・佐藤さんのデビュー当時からの担当で、本書においても企画・編集を務めたスタッフが、制作裏話や読みどころを語ります。

(構成/「よみタイ」編集部)

「一神教」の本を企画した理由

世界各地で起こるテロは、現在進行形で各国に及び、収束する気配はなかなか見えません。日本の一般報道は世界のニュースに割く時間が少なく、自らメディアを選び取り知ろうとしないと、遠い国の出来事として留まりがちです。いったい、なぜ、なにがどうしてこういうことが起こるのか。身近に危険が迫らない限り、掘り下げることはあまりないのではないでしょうか。
しかしながら、グローバル化する国際社会において、今後は隣にイスラム教、キリスト教、ユダヤ教、ヒンズー教、仏教、そして無宗教と、国籍や民族だけではなく精神的なバックボーンが異なる人たちとコミュニケーションをとっていかねばなりません
ボーダレスな未来が待ち受ける若年層にとっては、国内にいてもそういう時代になっていくことでしょう。
中高年にとっても、なんとなく難しそう、ややこしそうだからと遠ざけていたのでは、いつまでたっても世界で何が起こっているのか理解できないままとなってしまいます。

国際社会においては「宗教」も重要なリテラシー
国際社会においては「宗教」も重要なリテラシー

さらに、西洋を舞台とした小説や翻訳小説、あるいは映画や演劇を、宗教、聖書の知識がないまま読んだり観たりしても、深いところでわからないところが多々あるのではないでしょうか。
まさに私自身がそうだったのですが、佐藤賢一さんの小説をはじめとして、もちろん物語として十分に楽しめても、その都度調べる程度の付け焼刃的知識ではなく、各宗教の成り立ちを知ればより深くその背景や登場人物たちの思いがわかるのだろう……と常々考えていたことが、書籍『よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる』の企画を佐藤さんにご提案したきっかけです。

佐藤さんによる本書プロローグにあるように、「西洋史に題を求めた小説を書いてきましたが、もとより宗教については不可解で筆が止まるとき、自信をもって書けないときが多々ありました。それならひとつ調べてみようかと、取り組んだ」一冊ということになります。
佐藤さんは、小説家、研究者として翻訳のみならず各国の文献などで知識を重ねていらした方ですので、そもそもの知識レベルが私とは段違いです。歴史に興味はあっても素人である私自身を含む日本の一般読者にはわかりにくいのではないかという思う点を中心に、佐藤さんに質問に答えていただく形式で取り上げました。

もともとの知識のある方にとっては「こんなことを今さら……」という項目もあるかもしれませんが、読者の方々の知識の度合いや関心領域に応じて、どこから読んでいただいてもいいように編集したつもりです。

担当編集として特に印象的だったエピソードは…

ユダヤ教に端を発し、キリスト教、イスラム教と古代から紐解いていくので、どれをとっても読み飛ばせないエピソードばかりですが、特にイスラム教について、私自身が知らないことが多いこともあり、その出現から繁栄に至るまで読み逃せないことばかりでした。「なるほど、そうだったのか」の連続です。

また、各章の冒頭に、各宗教に関連する佐藤さんご自身の思い出などに触れたエピソードも吸引力抜群です。
少年時代にアニメ番組で触れたシンドバッドや『大草原の小さな家』、お子さんの幼稚園のキリスト降誕劇、東京ディズニーシーの「アラビアンコースト」、パリ・ダカール・ラリー……各章の導入部として理解を助ける楽しい読み物となっています。

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