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手塚治虫文化賞受賞記念! 『妻が口をきいてくれません』作者・野原広子さんインタビュー

野原広子さんが、すれ違う夫婦の姿をリアルに描いた『妻が口をきいてくれません』。
「よみタイ」連載時にも賛否両論、反響続々、描き下ろしを加えて昨年11月に発売された単行本は、たちまち大幅増刷!
テレビなど、メディアでも多数取り上げられ話題となっています。

夫婦の問題を深く掘り下げる“問題作”として注目を集める本作と『消えたママ友』(KADOKAWA)が、この度、手塚治虫文化賞・短編賞を受賞しました!!
これを記念して、作者の野原広子さんに、受賞の感想から制作秘話まで、たっぷりと語っていただきました!

(聞き手・構成/よみタイ編集部)

⼿塚治⾍作品のハッピーだけではない世界に惹かれる

――⼿塚治⾍⽂化賞受賞おめでとうございます! 受賞を初めて聞いた時に思ったこと、受賞の知らせから数⽇たってあらためて今の思いは?

⼀体なんのことだろう? と思いましたね。担当編集者の⽅からLINEで「⼿塚治⾍⽂化賞の短編賞に選ばれました!」という連絡をいただいたのですが、理解するまでにしばらく時間がかかりました。
そもそも私、40歳超えてのデビューでして、それも1作だけ描くつもりでしたので、今も作品を描いていること⾃体が驚きで。まさか賞をいただけるなんて想像もしていませんでした。
しかも幼い頃から何度も繰り返し読んできた⼿塚治⾍先⽣のお名前がついた賞で! ひたすら驚きました。
何よりも、⼀緒に作品を作ってきた編集さんたちが喜んでくれたのが嬉しかったです。みんなで作り上げた作品にいただいた賞だと思っています。ありがとうございます! また、作品を読んでいただいた⽅々ありがとうございます!

第25回 手塚治虫文化賞・短編賞を受賞した『妻が口をきいてくれません』より。
第25回 手塚治虫文化賞・短編賞を受賞した『妻が口をきいてくれません』より。

――⼿塚治⾍さんの作品で好きなものを上げるとしたらどちらになりますか。また、影響を受けたものはありますか。

もともと⽗親が⼿塚作品が⼤好きで家にはたくさんの作品がありました。
「鉄腕アトム」「ブラックジャック」「三つ⽬が通る」「⽕の⿃」どれも本当に作品の中の家族感とそこに広がる世界が⾒たことないものばかりで、それでいて歴史だったり⽣命についてや現実も教えてくれて、何度も繰り返し読みました。
⼦供の頃は特に「ユニコ」が好きでしたね。当時サンリオの「リリカ」という雑誌に連載されていて、⼤きなサイズのカラーで読んだ記憶があるんですけど、ユニコがもうとても可愛いんです! ストーリーは壮⼤で時空を超えた展開なのですが、⼥神の嫉妬から始まるお話は少し悲しくて……。今振り返るとハッピーだけではない世界に惹かれたのだと思います。

――歴史ある⼿塚治⾍⽂化賞ですが、過去の受賞作の中で野原さんが好きな作品、影響を受けた作品はありますか。

そうそうたる作家の皆さんと作品が受賞されていて、改めてすごい賞なのだと感じます。
好きな作品としては、やはり短編賞を受賞されている伊藤理佐さん、⻄原理恵⼦さんのエッセイには衝撃を受けました。⼤⼈になってから、特に⼦どもが⽣まれてからは、時間がなくてあまり漫画を読まなくなったのですが、伊藤さんと⻄原さんの当時出ていた本は全て買いました。
⼦育てがひと段落した今、ゆっくり⼿塚賞作品を読んでみたいと思います。

――これまでも主婦を主⼈公に、夫婦や⼦育て、⼈間関係の悩みを描いてこられました。なぜ「主婦」をテーマに作品を描き続けているのでしょうか。そして、今回はなぜ「⼝をきかない妻」の話を描こうと思ったのでしょうか。

私は漫画家としては本当に想像⼒も根性もないと⾃覚しているのですが、普通に奥さんして⼦育てしてきた経験だけはあるな〜、と。
なので、自分が経験してきた主婦や妻の視点からの作品ならば、描けるかな? と、自分の描けそうな範囲で夫婦や子育てについての悩みを取り上げた作品を描かせていただいています。
私としてはデビュー作だけを描いて終わりと思っていたのですが、当時の担当が有名編集者の松⽥紀⼦さんで「本を作るのって楽しい!」って、キラキラした⽬でおっしゃいまして「そうか! 本を作るのって楽しいんだ!」って、ようやく⽬覚めました。デビューしてから⽬覚めるって本当に遅いですよね(笑)。
それから⾃分にできる範囲で描ける作品を描くことになりました。

「妻が⼝をきかない夫婦」の話を描くことにしたのは、知⼈男性の「妻が⼝をくれなくてさ〜」というつぶやきから「それはどうして??」という疑問が始まりでした。描いてみてから、意外と妻に⼝をきいてもらえなくて苦しんでいる夫が多いことも知り、驚きましたね。

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野原広子

のはら・ひろこ●イラストレーター。作品に『離婚してもいいですか?』『離婚してもいいですか? 翔子の場合』『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』『娘が学校に行きません 親子で迷った198日間』『ママ、今日からパートに出ます! 15年ぶりの再就職コミックエッセイ』『消えたママ友』(以上すべてKADOKAWA)『お仕事はじめました!』(主婦と生活社)がある。
2021年『妻が口をきいてくれません』『消えたママ友』2作により、第25回手塚治虫文化賞「短編賞」受賞。

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