2021.4.2
「人生はうまくいかないのが標準仕様ーしんどい時代に生きている君たちはむしろラッキーだ」(GO三浦崇宏)
悩みがあるのが〝デフォ″
――コロナ禍といい、異例ずくめの時代の変化もあると思います。そんな今だからこそ、若い世代に伝えたいことはありますか。
みんな不安がっているのはすごく感じます。
確かに今は、コロナで大変で、zoom越しにしか先輩や同期に会ったことがないという新入社員もたくさんいますよね。
僕の古巣の大手広告会社もそうで、業務だけならzoomでも問題ないんだけど、休憩時間に食堂みたいなところでぐちゃぐちゃっと先輩と絡んだりするような機会がなくなっちゃってる。
先輩たちが受けてきたような対面の研修もできなくて、自分たちはきちんと教育を受けられていないんじゃないか、まっとうに世に出られていないんじゃないか、損しているんじゃないかと考え、焦っている、不安に思っている若い人が多いように思います。
でも僕が一番伝えたいのは、コロナ禍になってから世に出る皆さんは決して不幸ではなく、むしろすごくラッキーだということ。
「新しい時代の1期生」である皆さんは、いち早くこの時代の在り方やコミュニケーションに慣れた方がいいし、それができる。
そうすれば、後輩たちはみんなあなたの真似をするようになるし、上の人たちもあなたに教えを乞うようになりますから。
いつも思っているんですが、「ゆとり世代」「さとり世代」っていうくくりって、マーケティングする側としては楽だけど、ある種の呪いですよね。
「私、ゆとり世代なんで、真面目に努力できないんです」とか「僕、さとり世代なんで、頑張っても意味がないって思っちゃうんです」とか、勝手に名付けられたのに、自分たちでもそう思ってしまって、どんどんその呪縛にとらわれてしまう。
きっと今の大学生とか新社会人も、後から「zoom世代」とか「リモート世代」とか言われるようになりますよ。
それで「zoom世代だから人の表情見ないよね」とか「リモート世代だから場の空気読めないよね」とか言われるかもしれない。
でも、傾向を把握するのはいいけど、結局、自分は自分だから。
周りの大人たちが物事をわかりやすくするためにかけた「呪い」に惑わされないで、自分なりの悩みを持って自分なりに生きていってほしいと思いますね。
この本には僕を入れて10人が登場するけど、10人全員、何かしら悩んでいます。二十歳のインフルエンサーから70代の有名コピーライターまで、みんな悩んでる。
悩んでいて他人に言えないことがあるのはみんな同じなんです。すべての悩みや本音を周りに打ち明けられないのも同じ。ただ、その状況とか事情には個別のものがある。
だから、悩んでいることがあるとか、なんかモヤモヤするものがあることに対して、そんなに悲観的にならないでほしいし、「それ〝デフォ″ですよ」って言いたい。
「この自転車、ブレーキかける時にキーキー鳴る。なんか俺の自転車だけうまくいっていない」「いやいや、自転車ってたいていそういうもんだから!」って。
人生はうまくいかないのが、標準仕様です。
――それでもやはり今抱えている悩みを解決したという人にアドバイスするとしたら?
それはすごくシンプル。
悩んだり困ったりしているのって、全部がうまくいくと思っているからなんですよ。
カレー、チャーハン、ハンバーグがあって、これ全部を、お金も払わず食べられて太らない、みたいな状況にできると思っているから、どうしたらいいかわからなくて悩んでしまう。
それらが全部叶えばいいけど、そんなことはできないですよね。
だから、まずは何を得たいのかを明確にすること。
そして、何かを得たら、得られなくなるものがあることを理解すること。
これでやるべきことは明らかになってきます。
あとは順番をつけてひとつひとつやっていく。
たぶん、これは人生も仕事も恋愛も同じなんだと思います。
(了)
新時代、「何者かになりたい」という悩みを抱えているなら
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