よみタイ

夫と会話をしないのは「自衛」…リアル『妻が口をきいてくれません』主婦が涙した名場面とは?

漫画家・野原広子さんが、すれ違う夫婦の姿をリアルに描いた『妻が口をきいてくれません』。
「よみタイ」連載時には累計3000万PVを突破、書き下ろしを加えて昨年11月に発売された単行本は、たちまち大幅増刷!
テレビ「世界一受けたい授業」など、メディアでも多数取り上げられ、話題となっています。

【作品あらすじ】
2人の子を持つ会社員の夫・中村誠と専業主婦の妻・美咲。
ごく平和に暮らしていると思っていた夫。しかし、ある時から妻との会話がなくなる。
3日、2週間と時は過ぎ……。家事、育児は普通にこなしているし、大喧嘩した覚えもない。
違うのは、必要最低限の言葉以外、妻から話しかけてこないことだけ……。
第1話はこちらから

無神経な言動を繰り返す夫、傷つき失望して次第に口をきかなくなる妻、それぞれに賛否両論渦巻く本作ですが、実際に「夫と口をきいていない」女性はどのように読んだのでしょうか。
「まさに自分の気持ちそのもの!」というほど共感したセリフや、涙するほど印象的だった場面について語っていただきました。

(構成・文/よみタイ編集部)

「怒ってないよ」

美咲の表情が全てを物語っている……。(野原広子『妻が口をきいてくれません』より)
美咲の表情が全てを物語っている……。(野原広子『妻が口をきいてくれません』より)

美咲が誠と口をきかなくなって2週間。
「ママってば、なに怒ってんの?」と様子をうかがってくる誠に対して、美咲が「怒ってないよ」と静かに答える場面です。

そんな美咲が「自分と重なりすぎてすぎて、つらくなった」と語るのは、クミさん(40代)。
クミさんは、夫とは半年以上、口をきいていないそうです。

「美咲の『怒ってないよ』は本心だと思います。私も夫との会話がなくなった段階では、もう怒りもありませんでした。
思い返すと、怒ったり悲しんだりしつつも、話がしたい、話をしようとしていた時期もありました。
でも、子育てのことを相談しても『任せる』とか『俺にはわからない』とか言うだけで、理解しようともしてくれない。夫の実家の用事について何度も話したり確認したのに、後から『聞いてなかった』とか言われたり。
これを繰り返すうちに、夫とはだんだん話すことがなくなりました」

12歳と9歳の子供を育てるクミさんは、同じ子育て中の専業主婦の立場として「美咲が口をきかなくなった気持ちがよくわかる」と言います。

「口をきかないのは、夫を懲らしめてやろうとか意地悪してやろうという気持ちからではありません。
家のローンやお互いの親のこと、子供の将来のことを考えると専業主婦の自分には、今すぐ別れて、子供を引き取って育てるという選択肢はない。
DVとか借金でもないから、親や友人に相談して逃げるほどのことでもないと、自分でもわかっている。
そういう状況で、自分を守るためには『口をきかない』という方法しかなかったんです」

クミさんは「この先のことはわかりません。今は、淡々と育児に集中するようにしています」と話します。

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