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マイナス30℃にもなるアラスカ560キロのレースに挑戦! 「困難に立ち向かう姿を見せることがアスリートの価値」という北田雄夫さん

コロナ禍でアラスカレースに挑む理由

――コロナが完全な収束を見せないなか、今回、ご自身が世界4大極地最高峰レースのひとつに位置付ける、極寒のアラスカでのレース「Iditarod Trail Invitational」への挑戦を決意されたわけですが、その思いとは?

もともと昨年延期になった、山岳の最高峰「ヒマル・レース」の後にチャレンジを予定していたものであったのですが、開催されて、日本から出国できる状況なら出ようと思っていました。アスリートである以上、困難に立ち向かう姿を見せることに価値があるのではないかと。
だから、周りにはあまり相談もせず、自分で決めて準備を進めています。

前回のアラスカレースから約2年の時を経て、再び極寒の地へ。(写真提供/北田雄夫)
前回のアラスカレースから約2年の時を経て、再び極寒の地へ。(写真提供/北田雄夫)

今回のレースは昨年8月に募集があって、すぐに申し込んでいました。
主催者からは、当初、コロナ次第で中止になる可能性もあると言われていたのですが、結局、PCR検査を受けたり、民家を通らないコースに変更したりという対策を取ることで開催決定という連絡が来て。大会主催者側も、自分の意思も変わらないので、挑戦しようと。

もちろんアスリートである以前に、社会の一員ですから、できる限りの配慮はします。こういう状況でも知恵を絞って、トレーニングをして、「こんな挑戦ができるんだ」ということを見せる。それが自分にできることだと思っています。

――待ちに待った実戦レースですが、このレースはどのような大会なのでしょうか。

まず、このレースは本当に過酷で生命の危機もあるので、レース距離が3段階に分かれていて、まず短い距離を完走しないと次に進めません。
なので、2019年にも参加しているのですが、これまでのレースの中でも一番辛かったし、一番メンタルがやられるレースです(苦笑)。
やっぱり寒いと人間、生きる力が弱まるんですよ。それに、目に入るのはとにかく一面雪景色だけで、本当に何もない。
気温は冷えるとマイナス30〜40℃くらいになるのですが、寒すぎると、ちょっとしたことができなくなります。分厚い手袋から手を出してスマホなどを操作しただけで、完全にかじかんでしまって10分経っても回復しないほど。だから写真を撮るにも本当に一苦労なんです。

徐々にメンタルが蝕まれる中、雪の大地を自分の力だけで進む。(写真提供/北田雄夫)
徐々にメンタルが蝕まれる中、雪の大地を自分の力だけで進む。(写真提供/北田雄夫)

あと、このレースは参加者が少ない。前回の参加者はたったの9人でした。だから、途中で他の参加者に会う機会も少なくて、夜は13時間くらい真っ暗闇を一人でひたすら走る。

しかも、このアラスカのレースって目印がないんですね。

――一面雪景色の中、目印がない!?

そうなんです。しかも、現地の人がたまに使う道をスノーモービルでかき分けたような道がコースになっているので、雪が降れば道自体が埋もれてなくなってしまうこともあります。
そこを試行錯誤で進んでいくわけですが、考える材料はそれぞれで。一つの指標はGPS。あとは、先行のランナーのわだちを見つけたり、前後の選手を待ったり。道が二手に分かれていて、各選手がそれぞれの判断で違う道にいく場合もあります。やっぱり間違っていたとなれば、当然戻ることもある。
そうやって自分の頭で戦略を考えながら挑むのがアドベンチャーマラソンの面白さでもあるわけですが、元気な時はいいけど、疲れている時は本当に辛いです。

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北田雄夫

きただ・たかお
1984年生まれ、大阪府堺市出身。中学から陸上を始め、近畿大学3年時に4×400メートルリレーで日本選手権3位。
就職後は一度、競技から離れるも「自分の可能性に挑戦したい!」と再び競技を始める。
2014年、30歳からアドベンチャーマラソンに参戦。
17年、日本人として初めて「世界7大陸アドベンチャーマラソン走破」を達成。
現在は「世界4大極地の最高峰レース走破」にチャレンジ中。

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