2021.1.7
コミカライズ記念特別“ブス”対談! 若林杏樹さん×田村麻美さん「これがデブスの幸せ戦略」
やりたいことが見つからないから、とりあえず勉強していた
田村 結構習い事はさせてもらっていたんです。ただ、ピアノをやらせてもらっても、いまいち好きになれない、スイミングもいまいち、字もいまいちみたいな感じで、結局やりたいことが全然見つからなくて。でも、勉強はとりあえずやらなきゃいけない。やった先に、大学とか資格とかって、つながる可能性があるから、やってて損はしなそうだな、みたいな感じ。
若林 本にも書いてありましたけど、そういう考え方が中学生の時からできていたって早いですよね。私は中高時代はオタクグループにいて、ずっと漫画読んでました。結構エロい漫画とかBLとかも読んでて、男性にぶつけられない多感な時期のものを、全部二次元にぶつけていた部分はあって。「大学出たら絶対ハッスルするぞ」と思いながら(笑)
だから、田村さんの本を読んですごく共感しました。
田村 うれしい。
若林 でも私の場合、取り柄を生かそうとかは全然考えていなかったので。絵が好きだから漫画家になりたいというのはなんとなくあったんですけど、特に動かずにふつうに就職しましたし。
田村 大学職員ですよね?
若林 そうです。やりたいことがあんまりなかったというのもありますが、大学は自分を初めて出せたところだったので。
大学に入って、漫画研究会という、いわゆる漫研で、初めて自分の描いた四コマ漫画を人に見せたんです。そこで結構いろんな人に面白いと言ってもらえて。ああ、これは良いなと、やっと自分を出していけたのが大学という場所でした。だからここが職場になって広報の仕事とかできたらいいかな、と。大学には5年勤務して、結局漫画家の道に進みました。
――そういう意味では、お二人ともちゃんと若い頃にイメージした人生を歩まれていますよね。
田村 うん、何とか。でも、面白みのない人生ではあると思うんです。突拍子もないことはできないし、やろうとも思わなかったし、生きていく上で経済的な安定がやっぱりないと、生きていくの、しんどいよなって。じゃあ、経済的安定のためには、資格、国家資格かな、みたいな。全然面白くないわけなんですよ。アイドルになりたいとかじゃないし。
田村 自分の容姿に自信がないので、仮に結婚できたとしても、やっぱりブスだから、飽きられて捨てられちゃう可能性も大いにあるよな、みたいな。だからやっぱり、結婚してからも、ちゃんと経済的自立はしていないと、捨てられたときに何もなくなっちゃうなと。暗いんですよ。
若林 たしかに暗い(笑)
田村 その一心で、今も頑張って仕事をしています。まあ、ある意味で、プラス思考ではありますね。
――そして、2018年に『ブスのマーケティング戦略』を発表されました。そのタイトルや著者の顔が全面に使われたカバーが世間をざわつかせ、発売当初から話題作に。ものすごい反響があったと思いますが、当時を振り返っていかがですか?
田村 賛否両論がすごくて、本当に両極端だったんですよ。賛のほうは、どちらかというと、やっぱり容姿に割とコンプレックスがあって、容姿じゃなくても自分に自信がなくて、頑張って努力して生きてきたって人には、すごい共感をいただけたんです。
だけど、言い方はアレかもしれないんですけど、私なんてと諦めて生きてきちゃったような方からすると、卑下してきた自分を否定されているような感じを受けたのか、「ブスなんて言葉を使いやがって」とか「こんな顔面の表紙は見るに堪えない」とか、ものすごい批判の声も届きました。