2021.9.7
推し活に300万円以上つぎ込むも「私は中途半端なオタク」 ——おかずクラブ・オカリナさんインタビュー
推しキャラの誕生日は全力で祝う
——グッズや映画チケット購入以外にはどのような推し活を?
推し活といっても、私なんて全然で。たとえば世の中に出ているグッズを全部コンプリートする方とかもたくさんいらっしゃいますし、そういう方と比べると、私なんて本当に中途半端なオタクなんですよ……。
でも『おっさんずラブ』をきっかけに登場人物の誕生日はちゃんと祝うようにはなりましたね。
——どんなふうにお祝いされるんですか?
『ヒロアカ』の主人公・デクの誕生日にはケーキをホールで買って一生懸命食べました。一人でホールケーキ丸ごと食べるのって本当に大変なんですよね。
『ヒロアカ』のかっちゃんの誕生日は、友達が一緒に祝ってくれたので助かりました。あと、私の場合は、キャラの誕生日に、自分の好きなものではなくて、そのキャラの好物を食べたりもします。かっちゃんは辛いものが好きなので、辛くて美味しいものがあるお店を先輩に聞いて調べて、結局「赤坂飯店」がいいだろうということで、友達と食べに行きました。食後に自分で買って行ったホールのケーキをお店の人に頼んで出してもらったんですけど、プレートに「ハッピーバースデイ かっちゃん」と書いてあって、お店の人は「どっちが『かっちゃん』なんだ?」って思ったと思います。
『おっさんずラブ』の牧の誕生日は、春田と牧が初めて出会ったシーンが撮影された恵比寿のダイニングバーに行きましたよ。
緊急事態宣言中はそういうことができなくて、家でひとりぼっちでお祝いしないといけないので大変です。
——推し活をしていて、辛いことや悩みはありますか?
私、好きなものの話をしすぎるので、相方とかにも嫌がられるんですよね。推している作品を観て欲しいのに、相手が観たくなくなっちゃうような行動を取ってしまうんです。もっと上手く伝えられるようになりたいなぁとは常々思ってますね。
あと、私がもっと仕事を頑張って影響力を持てたら、私が好きだと言っているものの価値も上がるのに、とか……。
——すごく高い志をお持ちなんですね。
好きな作品に貢献したいという気持ちが強いんです。『ヒロアカ』がさらに一大ムーブメントのようになったら、堀越先生(編集部注:『僕のヒーローアカデミア』の作者・堀越耕平氏)にも喜んでもらえるんじゃないかな、とか。
私なんかが今さら何かしなくても、すでに5000万部超えの大ヒット作ですし、堀越先生が喜んでくれるとかいうのも勝手な妄想で、自己満足だってわかってはいるんですけどね。
『沼の中で不惑を迎えます。』の中で、担当編集のエイチさんがオタクのことを「古の農民」にたとえる表現があって、なるほど~と思ったんですけど、私なんて何も耕していない、何も生み出せないタイプのオタクですから。立派に育って品評会に出されたり、道の駅に並べられている野菜を「あ、これいいんだ!」と思って買っているだけで。
——育ててはいないけど、道の駅まではちゃんと行くから、せめてたくさん買うことで貢献させてください、と。
そうそう、そういうことなんです。
私、オタクのなりかたも雛鳥的というか、一般的にある程度流行ったり、友達に勧められたり、周囲から与えられたものを、刷り込みのようにそのままずっと好きでいることが多いんですね。浅いオタクなんです。
『ヒロアカ』も好きになるのが結構遅くて、ハマったのが去年なんです。だから今公開中の第3弾は何度も観に行けるけど、第1弾、第2弾の時には何も貢献できなくて。特に第2弾のヒーローズライジングは、デクとかっちゃんメインの映画なので、なんで1年早く2019年にハマっていなかったのかと……。
——でもDVDを買ったりとか……。
何枚もいらないじゃないですか。置く場所もないし。
——そこは冷静で現実的なんですね(笑)。
私、「ボイメン」(編集部注:「BOYS AND MEN」の略称。東海地方出身・在住の男性メンバーで構成された、ご当地アイドルグループ)も好きなんですけど、CDはかさばるのでそんなに何枚もいらないから、“応援口座”があればいいなって常々思ってるんですよ。赤十字社の寄付口座みたいな。
物はいらないけど、お金は使いたいんです。