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栁俊太郎 『ゴールデンカムイ』二階堂役で感じた手応え【実録・メンズノンノモデル 第3回 後編】

1986年5月9日に、女性ファッション誌『non-no』の男性版として創刊した『MEN’S NON-NO』。阿部寛さんなど俳優やアーティストを数多く輩出してきた同誌の創刊40年を記念して、本連載では、かつて専属モデルとして誌面に登場し、その後、様々なフィールドへと羽ばたいていった「メンズノンノモデル」たちの“現在”の姿と声をお届けしていく。常識にとらわれず、大きな変化をも恐れない彼らのしなやかな生き方から、先を見通しづらい現代を”自分らしく”生き抜くヒントを受け取ってほしい。

第3回は栁俊太郎さん。モデルと俳優の”二足のわらじ”に心が荒むほど苦しみぬいたエピソードを語った前編に続いて、後編は、役者としての飛躍のきっかけと、それによって大きく変わった人生観について。

取材・文/徳原 海  撮影/山田 陽

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ある作品と出会って、役者としての景色が変わった

栁俊太郎(以下、栁) 今改めて思うと、モデルの仕事に対する「慣れ」が足枷になっていた部分もありました。ファッションの撮影では、カメラの横に置かれた全身鏡を見ながら自分のポージングを調整したり、服がよく見えるような角度を意識したりするんですけど、その感覚が映画やドラマの現場ではちょくちょく邪魔していたのかもしれません。役者の場合はむしろ正反対で、そこを意識せずに演じなければならないので。同世代の (坂口)健太郎や(成田)凌は自然にそれができていたのかもしれませんが、僕の場合は結構苦労したんです。

 モデルとして引く手あまたの自分と、役者としてはなかなか認めてもらえない自分。そのギャップに悩まされる日々からようやく解き放たれる兆見えたのが2020年。あるひとつの作品がターニングポイントになった。

  『今際いまわの国のアリス』というNetflixドラマに出演させていただいたのですが、それが、スキンヘッドに顔面タトゥーという、ほぼ“自分の姿じゃない”役(笑)だったんです。トレードマークだったロン毛を全て剃り、その役が高く評価されたことで自分の中で「ひと皮剥けた」感覚がありました。別の世界で生まれ変わるために髪を剃って、タトゥーを入れて、というこのキャラクターそのものにも、当時の自分が感じた「ひと皮剥ける」というマインドが、すごく重なるようで。だから「よくぞあの頃の(役者として未熟だった)僕をスキンヘッドにしてくれたな」って、当時のキャスティングの方には本当に感謝しているんです。

 長年閉じ込められていた殻をついに破れた。そう自分でも実感できたとき、「目の前にあったモヤがウソのようにパッと開けた」という。

初めて、周りから「よかったよ」とたくさん言われ、それなりに長くやってきてやっと、役者として少し認められた感じがしました。同時に、自分が「完全に役に乗り移れた」感覚も初めて味わえたことで、もっともっと芝居と真剣に向き合いたいという気持ちが湧いてきました。これまでも、自分では一生懸命やっていたつもりだったけど、「何か」が足りなかったんだなって。そこから、役者として見ている景色が一気に変わった感じがしましたし、結果的に練習量も飛躍的に増えていきました。

 本作以降、水を得た魚のように、様々な作品の様々な役柄を多彩かつ表現豊かに演じる栁。2021年にメンズノンノモデルを卒業すると、2022年には映画、ドラマをあわせて10数本を超える作品に出演するなど、完全に波に乗った。自身の思考もぐっとシンプルになり、すべてが役作りとスムーズにリンクするようになったという。

 演技がうまくいかずにひねくれていた時期は「自分がカッコイイと思うのはコレだ」というのを信じすぎていて、それ以外を受け入れられない頑固さがあったと思います。でも、『今際の国のアリス』以降は、自分の価値観に囚われ過ぎることなく、物事をより柔軟に考えられるようになりました。そもそも役者ってカッコつける職業じゃないし(笑)、ときには恥ずかしい姿だってさらけ出す。自分の凝り固まった考え方を捨てることで、少しずつ視野が広くなっている気がします。

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新刊紹介

徳原海

大阪府出身。メンズノンノ編集部でのアルバイト勤務を経て2006年からフリーランスの編集者として活動。メンズノンノ、UOMOなどの雑誌をはじめ、現在は様々なファッションブランドやスポーツブランドの広告ビジュアル制作なども手がける。著書に「パラアスリート谷真海 切り拓くチカラ」(集英社)、写真と文で綴った欧州フットボール紀行「the Other Side」(ブートレグ出版)など。

Instagram :@kai.tokuhara

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