2025.12.5
マーク・パンサー 「地方にも東京に負けないくらい面白い人がたくさんいる」【実録・メンズノンノモデル 第1回 後編】
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新たな移住先、別府で考えていること
現在は2020年に引っ越した鎌倉を離れ、長野県の八ヶ岳と大分県の別府を拠点にしながら、東京や大学講師をしている大阪を行き来する生活をしている。中でもこの秋に移住した別府には特別な期待感を抱いているという。
マーク この先、60歳、70歳をどう楽しみながら迎えていけるのかなっていうのが自分の中でのいちばんのポイント。その点で、別府ではちょっと新しい世界を作り込んでいきたいなって思っています。もちろん健康生活研究家としての発信も引き続き力を入れていきますが、具体的な新しいプランをひとつお伝えするなら、子どもたち向けの劇団みたいなものを作ろうと思っていて、これからそこに向かっていろいろと準備していこうかなと。そういうふうに、子どもたちとか、誰かのためになれるようなことがしたい。自分のために何かをするのはもういいかなって(笑)
globe時代の戦友でもあるKEIKOが大分県臼杵市出身という縁から、何度か訪れるうちに別府の魅力にどんどん引き込まれていったという。
マーク 別府って、本当に地球の鼓動を感じる場所なんですよ。体を温めてくれるお風呂はもちろん、たとえば、ごはんを作ろうと思ったら温泉を利用して料理する地獄蒸しっていうものがあったり、生活するためのエネルギーを、ダイレクトに地球が提供してくれている感じがしています。実は今度、市営温泉の管理人もやる予定なんですよ。メンズノンノモデル時代も含めて、これまで培ってきて体に染み込んでいるアートやデザインの知見を、これからは別府の街のためにぶつけていきたいなと思って。子どもたちの劇団もただの劇団ではなくて、どういうふうにやったらスタイリッシュになるのかとか、地方にも東京に負けないくらい面白い人たちがたくさんいるので、そういう人たちと一緒にちょっとずつ突っ込んでいけたらいいなと思っています。
健康生活研究家やアーティストとしての活動と並行しながら、今年はなんと40年ぶりに俳優の仕事にも挑戦した。
マーク たまたまいただいたお仕事で、最初はただのちょい役か、よくある外国人の役か、あるいはマーク・パンサーっていう音楽プロデューサーの役か? なんて思っていたら全然違って、バーで働くハーフのマスター役(※今年8月にBS-TBSで放送されたドラマ『御社の乱れ正します!2』)。そこにピンときまして。今や周りを見渡すとハーフのタクシー運転手もいればラーメン屋で働くハーフの子もいる。テレビでハーフのタレントさんを見ない日はないですし、スポーツの世界にもたくさんいる。 僕が子供の頃は、ハーフというだけでいじめられることも多かったので時代は本当に変わったなと。そう考えると、メンズノンノが僕を見出してくれて、そこからちょっとずつ世界が変わっていって、その先に『50歳のハーフの役』を演じることができるなんて、何だか感慨深いなと。
世の中の流れにすっと身を委ねられるバランス感覚と、自分が何かをやりたいと思う気持ちに素直に従い、形にするバイタリティはさすがの一言だ。メンズノンノ、MTV、globeを経て、その後のキャリアでもここでは書ききれないほどの紆余曲折を経験していながら「壁があったとしてもそう感じたことがない」とカラッとした笑顔で言い放つところが彼らしい。55歳になった今も、モデル時代と変わらない自由さでしなやかに人生を謳歌している。

これからのメンズノンノモデルたちへ
マークがメンズノンノモデルを卒業してもう30年。時代は流れたが、今もメンズノンノモデルの多くが将来的に俳優やアーティストとして成功したいという思いを抱いている。これからオーディションを受けたいと考えている若者たちも含め、彼らに向けて、最後に、大先輩としてこんな提言をしてくれた。
マーク シンプルにもっとメンズノンノを愛していいんじゃないのかな。僕らの時代は、阿部(寛)さんも大沢(たかお)くんも田辺(誠一)くんもメンノンが大好きだった。だから僕ら個人個人というよりメンズノンノがめちゃめちゃ目立ってたし、編集の人たちやスタイリストのことも大好きだった。そうやって全員の目線やフィーリングが合っていたからいいものが作れたんじゃないかなって思う。 だから、いまのメンズノンノモデルの皆さんが将来もっと大きくなりたいのならば、まず自分たちが置かれているフィールドをもっと好きになって、とことん楽しんで撮影に臨むべきじゃないかなと思うんですよね。僕も、お話してきたようにいろいろ通って今がありますが、そのスタートがメンズノンノで良かったなと実感していますから。

PROFILE
1970年2月27日生まれ。フランス・マルセイユ出身。2歳でモデル活動を始め、12歳で映画デビュー。1986年から1994年までメンズノンノ専属モデルとして活躍し、MTVジャパンの初代VJを経て1995年に音楽ユニットglobeとしてデビュー。主にラップと作詞を担当し、「DEPARTURES」をはじめ数々のメガヒットを生み出した。その後はDJやソロプロジェクトを展開しながら、教育分野では京都造形芸術大学、大阪芸術大学の客員教授を歴任。近年はInstagramを中心に「健康生活研究家」としての活動にも力を注いでいる。
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次回、連載第2回は1/2(金)公開予定です
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