2026.4.12
“砂漠”なのに、スコールのように雨が降る! 白い砂で覆われた神津島の「裏砂漠」【山の名&珍プレイス 第5回 後編】
本連載では、アウトドア雑誌や山登りの指南本、TV番組や各種イベント出演でもおなじみの山岳ライター・高橋庄太郎が、豊富な山経験をもとに、自分の足でわざわざ見に行く価値がある、こだわりの山の名スポット・珍スポットを紹介していきます。
サハラ砂漠やアラビア砂漠など、世界にはいくつもの巨大な砂漠があります。だけど、じつは日本にも“砂漠”が……。といっても、それは大きなものではなく、厳密な定義では砂漠といってよいものなのか? しかし、見た人が砂漠なのだと思えば、そこはもう砂漠。実際に地名も「砂漠」なのですから。
前編の伊豆大島「裏砂漠」に続いて、後編では、少しマニアック?でも、白砂の美しさは格別。ぜひとも訪れみたいもう1つの“砂漠”をご紹介します!
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伊豆大島よりももっと南にも、知られざる“砂漠”が!
「日本で唯一の砂漠がある」といわれている伊豆諸島へは、東京の竹芝桟橋から船が出ている。ジェット船ならば、伊豆大島までは片道1時間45分だ。そこからさらに南下し、同様に1時間45分で到着するのが神津島である。

伊豆大島以外の “砂漠”が存在するのは、じつはこの島だ! 一大観光地であり、登山者も多い伊豆大島の三原山に比べると、そこはまさに“知る人ぞ知る”場所である。なにしろ「日本×砂漠」で検索しても、出てくるのは伊豆大島の情報ばかりで、よほどしっかりチェックしないと見落としてしまうはずなのである。それにしても、日本では珍しい“砂漠”が、これほど近い場所にあるなんて。もしかしたら、伊豆大島の“砂漠”に倣って、神津島の“砂漠”という地名が生まれたのかもしれず、その反対ということもあり得る。
神津島は面積のわりに最高地点が高く、天上山の標高は572mだ。5倍近い面積をもつ伊豆大島の三原山が758mなのだから、海岸からいかにそそり立っているのかがわかる。

とはいえ、天上山は古代の溶岩ドームでできた台地状の山だ。ひとたび山頂の一角に登ってしまえば、あとは標高500-600m程度の範囲で緩やかな大小の小山が広く起伏している。島全体から見れば、天板に凹凸があるテーブル状の地形だ。
集落に近い白鳥登山口から登っていくと、すぐに天上山の最高地点に到達する。天上山の台地はそこから南東部に向かって広がっている。これがもう、なんというか、日本ではちょっと見られないほどの異世界感なのだ! そして、そのすばらしい風景のなかにお目当ての“砂漠”が潜んでいる。


もしかしたら世界最小? 狭すぎる「表砂漠」
天上山主要部の中心には、両サイドを小高い山で挟まれた谷のように窪んだ場所がある。ここは838年に噴火した火口の跡で、大半が真っ白な砂地と岩石だ。そこが「表砂漠」といわれるスポットなのである。


正直なところ、ここが“砂漠”といわれてもピンとこないくらい“砂漠感”はない。だが、“砂漠”と命名されているのだから、ここは紛れもなく日本の砂漠のひとつなのである。その雰囲気は砂漠というよりも南国のビーチに近く、白砂がじつに美しい。砂漠という名称はともかく、この風景はわざわざ船や飛行機に乗って見に行くだけの価値はある。
しかし、まあ、狭いな……。ここはひょっとしたら世界最小の砂漠かもしれない。

伊豆大島と同様、「表砂漠」があるのだから「裏砂漠」もある。神津島の「裏砂漠」は表砂漠から見て、小山をひとつ超えた場所だ。麓の集落から見れば、手前にあるのが「表」で、その奥にあるのが「裏」というわけである。ちなみに、伊豆大島では島内最大の集落である大島町に近いほうが「表砂漠」で、その位置から三原山の裏になるのが「裏砂漠」となっている。

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