2018.10.23
誰も教えてくれない正しい目標設定の方法
正しい目標設定の方法とは
みなさんはどんな風に目標設定をしていますか??
会社の目標でも、あなたの人生の目標でもかまいませんが……その目標の立て方、本当に合ってますか??
実は目標には「立て方」が明確にあります。目標を達成できない人はたいがい正しい立て方を知らないもの。今回はドラッガー経済学をベースに「正しい目標設定の方法」を伝授します。
水は低きに流れ、人は易きに流れる
まず「目標」に対する認識から解説しましょう。そもそも「目標」ってなぜ立てるか分かりますか??
「目標」とは、嫌なことでも面倒なことでも達成できるよう、「自分を律する」ために設定するものです。イメージで言えば、マンガ「巨人の星」の〝大リーグボール養成ギブス″ですね。自分ひとりの力ではどうにもならないので、目標というギブスで無理やり達成できるよう強制するのが狙いです。
〝水は低きに流れ、人は易きに流れる″という言葉があるとおり、人は簡単で楽な方へと進む傾向があります。生物としては当たり前ですね。わざわざ辛く大変な方へと進むわけもありません。本能的には快適で楽でリスクのない方向を選ぶのが自然です。しかし残念ながら、我々は本能だけで生きる生き物ではありません。
人間は、本能的にはリスクがなく安全で楽な方へと考えますが、社会的には成長と進化を望むものです。辛く苦しくても努力し、毎年昇給し地位を上げ家族を養わなければならない。
つまりいかにして「本能の力を断ち切るか」が、社会的な成功の鍵とも言えるでしょう。
その際に活用するのが「目標」です。
本能のままなんとなくで生きていたら当然「人は易きに流れる」わけで、だからこそ目標が必要なのです。まずこの認識を持ちましょう。
「人は易きに流れる」
「楽な方へと進みがちな脆い心の持ち主である」
そのように理解できれば目標設定の準備はまずOKです。
達成目標・行動目標・実行項目の3つが基本
次に具体的な目標設定のフローを説明します。実は目標には3つ種類があり、それぞれを明確に設定せねばなりません。
一つめは達成目標(達成すべき目標、通常期間と数値で表現する)
二つめは行動目標(達成目標の到達に必要な行動内容、通常達成目標に対して複数存在する)
三つめは実行項目(行動目標の到達のために必要な「今日誰が何をどうするか」という実行内容)
概論だけでは理解しにくいので、ここで具体例を挙げましょう。手前味噌ですが私の業界、アパレルで例えますが、アパレル小売は「モノを仕入れて販売する」もっとも原始的で基本的なビジネスの形態です。私が説明しやすいだけでなく、モデルケースとしても理解しやすいはずです。
達成目標
「お店の月間売上1000万円達成」
行動目標
「単価2万円の強化商品Aを1日10枚販売する」
実行項目
「Aのターゲット客層である20~30代の男性が来店した場合。来店後3分以内に最も販売効率の高かった〜〜〜というセールストークを用いて必ずAを提案する」
極めて単純化したものですが、このようなイメージです。そして目標を立てるうえで肝心なことがいくつかあります。
目標設定のコツ1.
「目標を今日のタスクまで落とし込み、自分をがんじがらめにする」
まずは絶対忘れてはいけないことです。
達成目標・行動目標・実行項目、この3つがきちんとつながるように組み立てること。つまり実行項目が達成されれば必ず行動目標が達成されるようにし、行動目標が達成されれば必ず達成目標が達成されるようにする、ということです。
断言できますが、世の中にある90%以上の目標は「根性論」に過ぎません。
事業部に大きく紙で「昨年対比120%達成」と書いただけ。
売上目標と日割り計算の表を作っただけ。
強化する商品と営業目標を作っただけ。
……そんなものばかりです。
目標は「やるぞ!エイエイオー!」ではいけません。「今日どこで誰が何をどのようにするか」が明確である状態まで具体化しなければ、目標は達成できません。つまり理想論である目標数値を、現実的な今日のタスクまで具体化する作業こそが目標設定なのです。そのために「理想である達成目標」「それを実現する細分化された行動目標」「今日やるタスクまで落とし込んだ実行項目」――この3段階で具体化するのです。
“水は低きに流れ、人は易きに流れる”と、先ほど述べました。誰もが心当たりがあるはずです。それなのに世の中のほとんどの人が「自分を律する目標設定」をしないのです。「今日どこで誰が何をどのようにするのか」まで具体化しなければ、みな「まあいいか」で逃げてしまうのに。
「毎日本を読む」では誰も達成できないのです。
「毎日、19時から20時の間、勉強部屋で、机に向かって、先月買ったマクロ経済学の本を、必ず1日10P、読み終わるまで続ける」と、小学生でもわかるように行動を設定しなければ、人間は逃げるのです。
ジム通いが3か月以上続いた人はいますか?
資格の勉強を挫折せずに続けられた人はいますか?
休日に早起きして1日を大事に使う……ということを続けられている人はいますか?
誰もが楽な方へ楽な方へと流れることを経験しているはずなのに、どうして自分を律する目標を立てないのか私には不思議でなりません。
目標とは弱い自分を縛るギブスです。だからこそギブスの目は細かければ細かい方が良い。ギブスが穴だらけですぐに体から落ちるようでは、自分を縛ることにならないからです。
目標設定のコツ2.
「実行項目を他人と共有する」
バンド経験を持つ人なら誰もが理解できるはず。一人でギターを練習していてもいっこうに上手くならないのに、バンドに入ると極端に上達スピードが上がります。
一人で通信教育で勉強しても成果は上がりにくいのに、塾に通うと順調に成績が伸びていきます。
……これはなぜでしょうか?
人間は社会的な生き物です。単独では行動せず群れで行動し、お互いを支え合って生存をはかります。だからこそ我々の本能には「和を重んじる」「組織の列を乱すまい」とする意識があります。バンドに入って自分だけ課題曲を練習してこなかったらどうなるか? 周りが一生懸命に見える塾で自分だけ勉強していなかったらどうなるか? 集団の中にいると他人に迷惑をかけまいと「有言実行」するように強制されるのです。
だから、目標……特に日々のタスクを設定する「実行項目」は他人と共有するのが得策です。上司でも同僚でもいい、友人でも家族でもいい。「自分は毎日これをこうするんだ」と一言表明するだけでも意識が変わり、成果は上がるでしょう。
もっと良いのは「大勢でそれぞれの実行項目をチェックする」と最高です。例えば、バンドを組んで演奏するだけでなく、録音して練習の後30分で良いので全員で演奏を聞き返す反省会をすると上達が早いのです。「下手」が目立つから、和を乱すまいと全員で努力するようになるからです。
「目標は紙に書いて掲げると達成しやすい」などの統計もありますが、これはこういったケースを単純化した例でしょう。人は他人に見られることで、その意識はガラリと変わるものです。
目標設定のコツ3.
「与件を考え、可能な限りそれをつぶす努力をする」
起こるべき可能性のことを「与件」と表現します。目標設定においては、なるべく与件をつぶすようにしましょう。
例えば上記の例では「Aのターゲット客層である20~30代の男性」の来店率が低い場合、達成することが不可能となります。この与件を防ぐために、20~30代の男性の集客をあげる広告や取り組みなど、他の施策を考えます。それをまた行動目標と実行項目に落とし込み、日々進めていきます。
このように与件をつぶすようにして、「行動目標」は複数存在させることになります。無論それに付随する「実行項目」も行動目標の分だけ存在することになります。ただしあまり多過ぎても散漫になってしまうので、基本的には3つ以内に収めましょう。
目標設定のコツ4.
「一週間などの期間で区切り、結果を振り返ること」
最後に必ず「振り返り」を行なってください。一週間などで区切って達成目標と行動目標の進捗がどうであったかを確認します。
行動目標が達成できていない理由は実行項目にあります。
達成目標の進捗が思わしくない場合は与件をつぶしきれていない可能性があります。これらをつぶさに観察し、修正を行い続けます。修正改善を行い続ければ理論上はいつか答えにたどり着きます。これは基本的なPDCAサイクル〈Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 繰り返し〉です。
一生続くわけじゃない、覚悟を決めて半年でも1年でも頑張ってみよう
以上が目標設定の概要と具体例です。
一読すると「目標設定だけでも大変だな」と感じるはず……ですが、まさにそのとおりです。目標設定はどう頑張っても数時間はかかります。多くの人がいつもしているような「5分で目標を書いて終わり」では、達成できないからです。
綿密に具体化して、それを実行し、修正し改善を繰り返す……このフローを続けなければ理想まで到達はしません。私はサラリーマン時代これを徹底的に繰り返し、今の自分を構築していきました。辛いのは理解できますが、別に一生コレを続けろというわけではないのです。
「現状を打破したい」
「少しでも成績を上げて家族に楽をさせたい」
そう考えているのなら1年と期間を区切って、覚悟を決めて目標を作り達成しましょう。「根性論」で目標を掲げて、なんとなく生きて、うだつのあがらないまま時間を進めるより、一年覚悟を決めて取り組む方がよほどマシでしょう。
誰も教えてくれない「目標設定」の方法、いかがでしたでしょうか? 机上の空論になりがちな目標が、この手法を使えば必ず実になるはずです。
是非トライしてみてください。