2022.5.26
群ようこさん最新エッセイ集『今日は、これをしました』発売記念! 挿絵担当・ハルペイさん特別コメント
よみタイの人気連載(2020年3月〜2021年12月)を1冊にまとめたエッセイ集です。
本書の発売を記念して、連載の挿絵を担当したイラストレーター・ハルペイさんから特別コメントが届きました。
ハルペイさんのイラストといえば、クスッと笑えて幸せな気分になれる、ゆるくて可愛らしい世界観が特徴です。
『今日は、これをしました』の挿絵でも、フクロウが新聞を読んだり、キリンが編み物をしたり、ゾウが掃除をしたり……。
毎回、エッセイの内容に合わせた愛らしい動物のイラストで、見る人の目と心を和ませてくださいました。
そんなハルペイさんは、群さんの文章に何を感じ、どんな思いでイラストを描いていたのでしょうか。
(文/ハルペイ、構成/「よみタイ」編集部)
毎月ワクワクするのと同時にドキドキしていた
月に一度の編集者さんからのメール。
今月の群さんのエッセイはどんな内容だろうと、ワクワクするのと同時にドキドキしてもいました。
なぜなら毎回、編集者さんからは「エッセイを読んで、動物が主人公でハルペイさんのお好きなイメージで……」というご依頼なのです。
描くものが何も思い浮かばなかったらどうしよう……。
楽しさと不安が入り混じる思いを、いつも抱いていたものでした。
エッセイの内容を伝えすぎて説明的になるイラストはよくないだろうし、でもあまりにもかけ離れたイメージもよくないだろう。
今回もいいのが思いつくことができるだろうか……。
日常のささやかな断片を掬いとり、様々なことに目を向かせてくださる群さんのエッセイを読んでいると、そうそう、私も同じだなあ……とか、私もそうなったらどうしようかなあなど、
自分に重ね合わせることが多くありました。
一つ一つが独立したかけらのように見えても、20年も経って読んでみたら、ああ、この時代はこんなことでちょっと悩んだりしていたなあ……困ったり立ち止まったりしながら、生活をよりよいものにしたいと考えるのは、いつの時代も同じだなあ……なんて思い返すのかもしれません。
群さんが長年連れ添った猫のしいちゃんが天国に行ってしまった時のエッセイは、
22歳7ヵ月という大往生とわかっていても、やりきれない気持ちでした。
うちの犬のまるの「いつか」のことを考えてしまって、
群さんはどんなに悲しいだろう……きっとお元気をなくされているのではないかしら……と。
群さんのエッセイに頻繁に登場してきたしいちゃんを知ってる方も、これから読む読者の方も、
きっとそんな想像をして寂しい気持ちになったり、お心を寄せてくださったりするのだろうな……。
そんなことを考えていたら、しいちゃんらしき猫が軽い足どりで虹を渡るイラストが頭に浮かびました。
そうだ、最近天国に行ってしまうことを「虹の橋を渡る」って書いていたのを、どこかで見かけたっけ……。