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女子大生のアパートの玄関先に置かれたモノ
めくるたび、どんどん怖くなる。
『一行怪談』で知られる吉田悠軌さんの書き下ろし怪談集『日めくり怪談』から選りすぐりのお話をご紹介します。
1日5分の恐怖体験をお楽しみください。

女子大生のアパートの玄関先に置かれたモノ

 東京の女子大に入り、一人暮らしを始めて間もない頃のある日。  
 アルバイトに行こうとアパートを出たところで、財布を忘れてきたことに気づいた。
 駆け足で部屋に戻り、テーブルの上の財布を取ってから再び外出しようとドアノブに手をかける。
 そこで「えっ?」と声が出た。玄関が開かないのだ。ドアがわずかに動いたところで、ガコンガコン、とつっかえてしまう。どうやら外側で、なにかの障害物にぶつかっているようだ。

 突然の事態に焦りながらも、思い切り体重をかけてみる。
 なんとか、もう少しだけ戸をずらすことができた。
 その隙間から外をうかがったところ。
 ドアの前に、大きな石が置かれていた。
 
 一部がちらりと見えるだけだが、よほどアンバランスな形状でもない限り、大型犬くらいの大きさはありそうだ。とにかく相当な重さのようで、これ以上はいくら押してもびくともしない。
 部屋はアパートの三階だ。こんなもの、誰がどうやって運びこんだのか?  
 先ほどアパートを出入りした時には、なんの異常も人影もなかった。たとえ大人数が大急ぎで持ってきたとしても、それなりの騒音がするはず。
 頭の中がぐるぐると混乱する。なんとか気を落ち着かせ、とにかく助けを求めようと管理会社に電話した。
「そうですか。すぐに人を行かせますので少々お待ちください」
 

(イメージ画像/写真AC)
(イメージ画像/写真AC)
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吉田悠軌

よしだ・ゆうき●1980年東京都出身。怪談、オカルト研究家。怪談サークル「とうもろこしの会」会長。オカルトスポット探訪マガジン『怪処』編集長。怪談現場、怪奇スポットへの探訪をライフワークとし、執筆活動やメディア出演を行う。『怪談現場 東京23区』『怪談現場 東海道中』『一行怪談』『一行怪談漢字ドリル 小学1~4年生』『禁足地巡礼』など著書多数。
Twitterアカウント:@yoshidakaityo

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