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「自由に生きたいから」2000万円で会社設立した理系女子大生がそれでも歌舞伎町で働く理由

性暴力の記憶、セックスレスの悩み、容姿へのコンプレックス――
お金だけではない「何か」を求めて身体を売る女性たちの事情や思いに、ノンフィクションライターの小野一光さんが迫る大好評連載「限界風俗嬢」。

今回は連載に登場した「歌舞伎町で働く理系女子大生 リカ」の前編をダイジェストでお届けします。
1000人以上の風俗嬢の取材を経験してきたベテランライターが聞き出した悲しすぎる告白。
理系大学に通い、フリーのITエンジニアとしても忙しく働くリカさんがキャバクラ嬢を続ける理由とは……。

キャバ嬢をやってるのだって、自由に生きたいからなんですよ

朝と夜はキャバクラ嬢、昼はITエンジニアとして働く、理系女子大生のリカさん。

昼の仕事が忙しくなったため大学は休学。キャバクラで貯めた資金2000万円を出資して会社を立ち上げ、代表取締役に就任しました。

お金に困っているわけでもないのに、キャバクラの仕事を続ける理由をこう話します。

「自由に生きたいからなんですよ。縛られてばっかりだから。いま住んでるの実家だし……。最初は会社を始める資金を集めるために始めたキャバだったんですけど、仕事が面白いんですよね。だって、お酒飲みながら、まったく違う世界の人の話を聞けるのって、キャバしかないじゃないですか。私って色恋(営業)とか枕(営業)って一切しないんですね。でも、そんな私のこと気に入って呼んでくれる人とかいるし、もう、出会いの場ですよ。こんな面白い世界、他にないと思います」

14のときに義理の父に手を出されて……

リカさんの父親はとある業界の専門職で、知名度も稼ぎもそれなりにある人物でした。
小三のときに父と母が離婚した後は母方の祖父母宅などを経て、東京都下の町で母親と二人暮らしをしていたリカさん。
父親からは月に40〜50万円の養育費が支払われていたため、経済的に不自由することはなく、有名学習塾へも通っていました。

小六の時に母親が再婚。再婚にともなう引っ越しと転校に難色を示したリカさんに対し、母親は「じゃあ私、あんたいらないから。おばあちゃんと暮らして」と言い放ち、リカさんは祖父母の家に残されます。

「捨てられた」という不安定な気持ちもあってか中学受験に失敗。そんな彼女に母親が告げた言葉は「見損なった。あんたなんか産まなきゃよかった」。
リカさんは強制的に母と義父、そして母と義父の間に生まれた弟が暮らす家に連れ戻されました。

そして14歳のとき、ヒステリーですぐに手が出る母親に耐えるリカさんに、より強大で逃げ場のない理不尽が襲いかかってきたのです。

それが、義父による性的虐待でした。

「それで、十四のときに義理の父に手を出されて、リスカ(リストカット)してて、バレて家族会議になって……」

このとき家族にバレたのはリスカだけ。

「家族会議では、『うちはいい家系なんで、恥ずかしいことしないで』って怒られて、それでも私はバファリンとかをひたすら飲んで、オーバードーズ(薬物の過剰摂取)で意識を失ったりとかしてたんですね。だけど世間体を気にする母は、『救急車なんて呼んでまわりにどんな顔すんのよ』って、呼ぼうとしないで、そのまま寝かされてました」

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