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肌年齢は何歳? 45歳の美容初心者おじさんが、最新機器「VISIA」で肌診断してきた!【爪切男『午前三時の化粧水』一部試し読み】

爪切男さんの新作エッセイ集『午前三時の化粧水』が3月26日(木)に発売になりました。
書籍の試し読み企画として、全38篇のエッセイから著者・爪さんがセレクトしたエッセイを、その理由も添えてお届けします。
今回は書籍に4篇ある書き下ろしより1篇をご紹介。
著者がセレクトした理由
連載にはなかった書き下ろしの1篇です。診断ものといったら動物占い診断ぐらいしか信じていない私が、ちゃんとした美容クリニックの「VISIA」という撮影機器で肌年齢診断を受けてきました。果たして、その結果やいかに。

肌年齢診断に行ったのよ

 (イラスト/山田参助)
(イラスト/山田参助)

「うわっ…私の年収、低すぎ…?」でおなじみの適正年収診断や、現在世界中で大人気の16タイプ性格診断(通称MBTI)と、世の中にはまことに多くの診断テストが存在し、かくいう私も良い暇つぶしとして、そういうものを利用することが多い。
ただ、私に今一番必要な診断はアレしかない。そう、 「肌年齢診断」である。
まず肌年齢とは何なのか。読んで字のごとく、自分の肌がどの年齢の水準にあるのかを数値化したものである。健康診断などでわかる内臓年齢のようなものである。
「あなたの肌年齢を測ってみませんか?」と街なかやデパートの化粧品コーナーなどで声をかけられたことがある人も多いのではないか。

便利な世の中になったもので、最近ではスマホで自分の顔を撮影し、その写真で手軽に診断ができるアプリも多数開発されている。3分程度で結果が出る優れモノから、肌年齢だけでなくパーソナルカラー診断までできるお得なモノまで多種多様にある。ちょっと面白かったのが、自分の肌に1円玉を押し付け、その跡がどれぐらいで消えるかで診断するというもの。たまにこういうオカルト的なものもあるから美容の世界は実に面白い。

実際にいくつか試してみたが、結果に多少のばらつきは見られるものの、肌年齢は30代後半という診断が多数を占めた。ふんふん、マイナス10歳か。こういう類のものは実年齢よりも高く表示されるとばかり思っていたので拍子抜けである。そうか、美容初心者なりに日々のスキンケアを頑張った結果のたまものであろう。

と、これだけでは我慢できないのが今の私なんである。スマホではなく、最新鋭の機器を使って診断を受けてみたいという衝動を抑えることができない。そうなると美容クリニックに足を運び、カウンセリングを受けるしか方法はない。美容クリニックか。きちんと下調べをしないと、強引なやり口で施術プランに勧誘されたり、法外な診療費を請求されるやもしれない。
偏見が入り混じっているかもしれないが、用心するに越したことはない。妻と一緒にリサーチを重ね、信頼に足るクリニックをいくつかリストアップ。グーグルマップを使い、クリニックの外観なども探っていく地道な作業を夫婦で行う。

熟考の末、私が選んだのは、新宿にある大手のクリニック。皮膚科も併設しているので、保険治療も含めた総合的な判断をくだせるというのが決め手だった。
「しつこく勧誘されたら、家族に相談しないとおカネが……とでも言って逃げて来るんだよ」という妻の優しい言葉を背に受けてクリニックへと向かう。

駅から徒歩すぐの場所にあるので、特に迷うことなく予約時間5分前に到着。別に何か手術をするわけではないのに、胸の鼓動が倍速で早くなる。四十歳ぐらいになると世の中の大抵のことに冷静に対処できるとばかり思っていたのに、なんとも情けないかぎりである。
覚悟を決めていざ受付へ向かう自動ドアを開ける。すると、私のようなおじさんを含め、若い人から年配の方から外国の方まで、多種多様な患者さんたちが待合室に顔を並べていた。よかった、私、浮いてないぞ。ホッと胸を撫で下ろして問診票の記入を済ませる。
本日担当してくれる女性カウンセラーが笑顔でほほえみかけてくれる。素敵だ。あなたにならちょっとぐらい騙されても大丈夫です。

肌年齢診断をするためには、まず洗顔をする必要があるとのことで、クリニック内に設置されている洗面台コーナーにてパシャパシャと顔を洗う。む、まさか盗撮なんかはされていないよなと警戒するが、人の洗顔の様子を盗み撮りしてなんの得があるというのか。見たければ好きなだけ見ればいい。見よ!日々鍛え上げてきた私の洗顔を!といったことを考えながら洗顔は終了。しかし用意されていた泡洗顔フォームはとても良い洗い心地だった。あれはどこのメーカーのものなんだろうか。あとでカウンセラーさんに聞いてみよう。

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新刊紹介

爪切男

つめ・きりお●作家。1979年生まれ、香川県出身。
2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)にてデビュー。同作が賀来賢人主演でドラマ化されるなど話題を集める。21年2月から『もはや僕は人間じゃない』(中央公論新社)、『働きアリに花束を』(扶桑社)、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(集英社)とデビュー2作目から3社横断3か月連続刊行され話題に。
最新エッセイ『きょうも延長ナリ』(扶桑社)発売中!

公式ツイッター@tsumekiriman
(撮影/江森丈晃)

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