2020.11.21
川村エミコ、高校時代の失恋を語る「告ってないのにフラれている」
その日、なんで言わなかったのだろうと後悔した私は、夕方犬の散歩のついでに家の近くの公園の脇っちょにある公衆電話から先輩に電話。
「もしもし」と先輩の声。良かったと思い「あの……」と話し始めたのですが、あろうことかその公衆電話が壊れていて、向こうの声はこちらに届くのに、こちらの声はいくら出しても届かない状態。
先輩は「もしもーし」と言っては受話器をトントントン。
私は、「先輩〜〜〜! 先輩〜〜〜〜〜! あの、聞こえませんかぁ〜〜‼」
うちの犬プチは私の動揺を綱伝いに感じたのか、「アウぉぉぉぉぉぉぉん!!!」と遠吠え。
イタズラ電話になってしまいごめんなさいをしなきゃっ!と急いで家に帰り、その時間5分。先輩の家に速攻で電話。
告白とかでは無く謝らなくちゃの気持ちで、
「あ、もしもし川村です。」
先輩かと思いきや出たのは弟。
「Kさんいらっしゃいますか?」
「たった今家出ちゃいました。」
「そうですか。失礼します。」
ちーん、です。告白して「決定打」を貰えることなく、この恋は終わりました。
そういう星の下なんでしょうね。
そもそもすでにコーラを買って行った時に「告ってないのにフラれている」ので、上手くいくはずもないのですが。
これが私の、精一杯の、自分から好きになった恋愛の末路です。
* * *
あんな恋やこんな恋を経験し、30代になった川村さんはお付き合いする男性ができるのですが……。
30代の恋愛についてはこちらから。
恋愛迷子・川村エミコの心の内が1冊に
川村さん初のエッセイ集には、これまでの恋愛遍歴を振り返った「恋愛迷子のあんな恋、こんな恋。」のほか、気になる男の子に「粘土」とあだ名を付けられたエピソード、結婚・出産を迫ってくる「どうするの?なんで?女」撃退法など、数々の傑作エピソードが収録されています。
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