2020.11.21
川村エミコ、高校時代の失恋を語る「告ってないのにフラれている」
今回はその中から「高校1年生の時好きになった先輩」との思い出をお届けします。
10代の川村さんの真面目さとひたむきさが愛おしくて面白い、青春エピソードです!
*書籍から一部抜粋・再編集しています。
(構成/よみタイ編集部)
川村エミコが自分から好きになった10代の恋
高校1年の時好きになった先輩には、コーラを買いに行かされた挙句、告ってもないのに「川村、無いわぁぁぁ~」とフラれ、こっちの気持ちの処理が追いつかないので、「決定打」が欲しくて告白しようと決意したのが、先輩の卒業式の朝。
朝イチで制服のネクタイと競争の激しい三つしか無いブレザーのボタン一つを貰う確約を取りに、勇気を出して3年生の教室のある棟へ。
卒業式、まさに当日の朝です。少しの緊張感とざわついた空気を覚えています。
「今までありがとう!」「また絶対会おうね。」の声や、「大学一緒だから、すぐ会えんべ。」などの声、普通にいつもの朝のように登校している3年生。
その情景にドキドキが増したので、出来るだけ卒業生の顔など見ないように、廊下のシミを知っている限りの原生生物に当てはめながら進もうと試みましたが、「ゾウリムシ」「ミドリムシ」「アメーバ」……。
そんなに原生生物を知らなかったのと、廊下のシミもそれほどなく、先輩のクラスを通り過ぎました。
後ずさりしながら戻り、先輩を呼んでもらい、「あ、あ、あああああの、ネクタイとボタン、卒業式終わりでいただきたいです。」
先輩はあっさり「いいよ。またね。」
ネクタイとボタンの確約をいただきました。OKを貰った時のあの心躍る高揚感は今でも忘れられないです。伝わらないかもですが、初めて氷水に入った後の高揚感に似ています。なんだかたくさんおしゃべりしたくなるような気持ちと浮かれちゃダメな気持ちがグルグルと絡み合いまして、自分の教室に戻ったのを覚えております。
卒業式終わりに、門の近くで貰いました。「さあ、えみこ! 今だ! 行け! 今しか無いぞ! 言っとけ! 言わないと終わりだぞ! もう会えないぞ!」どんなに言わなきゃと思っても声に出せず、「ありがとうございます。またいつかお会いできたら嬉しいです。」とか細い声で言ってさよならしました。